「その調子だったら内申書を書かないぞ」
教諭Xは自ら椅子に深く腰掛け、目の前にAくんを立たせた。立ち尽くし、恐怖で青ざめるAくんに対し、教諭Xは逃げ場を完全に奪うような言葉の暴力を浴びせ続けた。
「その調子だったら内申書を書かないぞ」
「やる気がないんだったら味方しないぞ」
「提出がそんなに悪いと、マイナスのことしか書かないぞ」
「内申書がマイナスばっかりになるぞ」
「高校に行けないぞ」
「社会じゃ通用しないよ、やっていけないよ」
高校受験を控え、繊細な時期にいた中学3年生にとって、「内申書を書かない」「高校に行けない」という言葉は、己の未来を全否定されるに等しい絶望的な宣言だった。さらに人格まで侮辱されたAくんの目からは、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。
Aくんは涙を拭いながら、失意のうちに職員室を後にした。
教諭Xは、それほど激しく動揺し、涙を流している生徒に対して、万が一の事態を防ぐために学校にとどめ置く、保護者に連絡して引き渡すなどの配慮をせず1人で帰宅させた。
同日午後5時40分ごろ、教諭XからAくんの母親の携帯電話に着信があった。
母親は尋問でその時の様子をこう振り返っている。
「『息子さんがカバンを学校に置いたままいなくなりました。宿題を出していなくて残していたらいなくなりました。どこか行きそうなところに心当たりはありませんか?』と言われました。心配しているような言い方ではなく、とても威圧的で、私も責められているような気持ちになりました」
虫の知らせを感じた母親が急いで自宅へ戻ると、学校からほど近い自宅には、すでに教諭Xが駆けつけていた。
そして、自宅の自室で母親がAくんを見つけた時、Aくんはすでに息絶えていた。
