変わり果てた息子の姿を前に泣き叫ぶ母親の傍らで、教諭Xは「みんな一緒だったんです!」と叫び声を上げ、遺体に向かって「ごめん、Aくんごめん!」と錯乱したように叫んでいたという。その挙動から、教諭Xは現場に駆けつけた警察官から2度にわたって事情聴取を受けることとなった。

 事件後、遺族は学校側から真摯な説明を受けることはなかったという。

鹿児島地方裁判所

指導が違法であることは認められたが、自殺の責任は認められず

 裁判で遺族は、教諭Xの指導は「違法」で、自殺との間に明確な因果関係があると主張し、約6580万円の損害賠償を求めた。

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 鹿児島地裁は、教諭Xの指導が教育的指導の範囲を超えた「違法」なものであると認定し、Aくんは精神的苦痛を負ったとして市に33万円の賠償を命じた。しかし威圧的な指導そのものの違法性を認める一方で、自殺についての損害賠償は認めなかった。

 つまり「違法な指導がなければ自殺は起きなかったが、教諭Xがそれを予測することは難しく、安全配慮義務違反とまでは言えない。よって、自殺についての損害賠償は認められない」という判断を下したことになる。

 しかし、Aくんの母親はその判決にまったく納得していない。

「数学の担当教諭が当日欠勤していたことについて、X教諭は、調査委員会の聞き取りでは話さず、裁判の証言までずっと黙っていました。不適切な指導によって子どもの心が壊れてしまうのに、先生にはその認識がありません。大声で怒鳴る、椅子を振り上げる……社会一般ではパワハラと呼ばれる行為を『指導』で済ませないでほしい」

 判決後、絞り出すような声で語ると、こう続けた。

「先生たちも、不適切な指導によって亡くなってしまう命があることを知って、子どもたちを守ってほしい。それは先生たち自身を守ることにもつながるはずです」

「息子に『あなたは悪くない』と言ってあげたい」――遺族は判決を不服として9月1日に控訴した。戦いは、今もなお続いている。

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