近現代史研究者の辻田真佐憲氏の好評連載「『戦後』の正体」が完結した。9月号に掲載された最終回では、日本の戦後における「切れ目」について論じられた。その中でも、国立歴史民俗博物館(歴博)における戦後史の展示について語った箇所から一部を紹介する。
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教科書的な展示ではあるものの…
戦後史の展示はどのようになっているだろうか。
冒頭の「戦争の終わり」というパネルでは、1945(昭和20)年8月14日に日本がポツダム宣言を受諾し、翌15日に昭和天皇の玉音放送によって国民に降伏が伝えられた、と説明されている。
間違いではないが、近年では8月15日以後も千島列島や樺太などでソ連との戦闘が続いていたことや、正式な降伏文書への調印が9月2日であったことに関心が向けられており、8月15日だけを特権的な「終戦の日」として位置づけることには批判も少なくない。現在の展示では、このような論点までは明示されておらず、やや物足りなさを感じる。
ことほどさように、戦後史の展示は明らかに空間が足りていない。そのため、説明内容も教科書的なものにとどまる部分が多い。
とはいえ、見るべきところがないわけではない。
戦後史の後半部には「大衆文化から見た戦後日本のイメージ」という大きなコーナーがある。これはその名のとおり、雑誌や映画などの大衆文化を手がかりに戦後日本の姿を描こうとする試みだ。
