――それをどういう感情で聞いていたんですか?

碓氷 内心は「舐めんなよクソが」って思ってました(笑)。でも、そんなことを考えているのがバレるとまた機嫌が悪くなりますから、「そうだね~」って軽く流しましたけど。

――実際、母親は、碓氷さんから見ても東大合格レベルまで行ける能力はありそうでしたか?

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碓氷 正直、難しかったと思います。母の言動は子どもでもわかるくらい論理性や一貫性に欠けていました。朝言ったことが夜には変わるし、平気で人を見下したり裏切ったりする。自己啓発本が大好きで『○○が9割』みたいな流行りの自己啓発本は必ず買っていました。『世界一受けたい授業』とか『ホンマでっかTV』などで見つけていたみたいです。

 母の最大の問題は自分自身を客観視できていないことで、これだと自己管理もうまくいかなかったのでは、と思ってしまいます。

自らを「素晴らしい母親」だと思い込んでいた母親

――「自分を客観視できていない」とは、どういった点で感じられたんでしょう。

碓氷 さっきの「本気なら東大」もそうですし、一番は母自身が自らを「素晴らしい母親」だと思い込んでいたことです。

 母にはよく説教をされたり、罰を受けたりしましたが、それらはすべて「母の厚意を踏みにじったから」という理由で下されるものでした。

「大学受験のために、テレビを最小音量にして、勉強の邪魔にならないようにしている。教材を買ってきてあげているし、勉強を見てあげたこともある。こんなにすごいお母さんはいないのよ!」って、よく自慢交じりのお説教をされました。だから、絶対に私の期待を裏切らず東大に受かれ、と。私から見れば明らかに「毒親」なんですけど(笑)。

――東大にこだわりがあったようですが、碓氷さんご自身もそうだったのでしょうか?

碓氷 正直、高校入学当初は「別に東大じゃなくても」と思っていました。地元の近くに旧帝大があって友人たちも数多く志望していたので孤独にならないですし。

――でも母親は碓氷さんを東大生に仕立て上げたかった。

碓氷 東京を離れてからも母の東大信仰は残り続けていましたが、ちょっと薄まって来てはいたんです。ただそのタイミングで、高校の二者面談があり、担任が「これなら、娘さんは東大にも行けますよ」と漏らしてしまって……。