「親分のところからトンズラしたんです」暴力団を勝手に抜け出したワケ

――スカウトみたいなものだったわけですね。

斎藤 その親分は組のナンバー2だったんです。その頃の僕は、ヤクザのことをあんまり知らないわけですよ。組織図とか相関図とかも含めてね。

 で、なぜかA先輩と盃を交わして飲んだんですよ。というか、「盃を交わす」という意味が分からないまま飲んでしまったんですよ。

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 事務所から出て、中華料理屋で「組に入る気ないか?」「はい」なんて日本酒を飲んで。それが盃を交わしたことになったんでしょうね。その重さなんて、分かるわけないですから。こちらとしてみれば、ただビールで乾杯みたいなもので。それぐらい軽いと思ってたんですよ。

――盃を交わした後は、なにをするのですか。

斎藤 代紋をもらった後、週に3日くらい事務所に宿直して、親分の身の周りの世話をしたり、雑用をこなすんですね。そうしたらA先輩が、本部の部屋住みに行っちゃったんです。A先輩がいないと面白くないし、何をすればいいのかもわからなくなってしまって。

 さらに「なんで事務所当番やらなきゃいけないの」と思い始めて。「会費」と呼ばれる3万円の上納金を納めなきゃいけないんですけど、1週間に3日は事務所に詰めなきゃいけないし、それ以外にもいろいろ忙しいから稼ぐにも稼げない。当時の僕は東京に人脈もなかったですしね。

 小田原の後輩たちに「シンナーでもさばけ」と言えば稼げるけど、地元は違う組だからケンカになってしまう。全部が億劫になって、親分のところからトンズラしたんです。

 

「結婚式の二次会に組の人たちが来て、ボコボコにされて…」

――どこに隠れたんですか。

斎藤 小田原をはじめ、いろんなとこですね。で、小田原で捕まりました。

 結婚式の二次会に出てワイワイやってたら、いきなり組の人たちが来て、ボコボコにされて山に連れてかれました。そのまま山中で袋叩きにされて。「お前どうすんだよ? ヤクザ戻んのか戻んねえのか」と聞かれて、「考えさせてください」と答えて。

 その頃、僕は宝石販売の会社に入っていて、月に数百万は稼いでいたんです。で、そこの社長さんから「もう、そういう世界に行くな」と止められました。