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そしてなにより、会社に対して貢献しかしていない我々が自らの意思で会社を辞めるのは、スジとして違うとも思えてきたのです。
もっと重要なことは、この会社を辞めることは、自分たちにとって一番大事な故郷を捨ててしまうことになりはしないかという予感がしてきたことです。
この風土に助けられ、良い流れに乗れたのだから
何と言えばいいのか。HTBは、札幌の中心部からだいぶ離れた、見渡す限り果樹園しか見えないような丘の上に開局するしかなかった後発のテレビ局です。でも、他局の後塵を拝するような環境に建つテレビ局だったから、熾烈な競争からも遠く、HTBの先人たちは、牧歌的な丘の上でゆるくて寛容な風土を醸すゆとりを得たはずなのです。
その寛容な風土を持つ故郷を安易に捨てていいのか。もしかすると我々はこの風土から目に見えない滋養を得ているかもしれないのに。大事なことは、そんなHTBで『水曜どうでしょう』は生まれたということです。
我々はこの風土に助けられ、ここで成功したのです。だったら、これからもこの流れの中を流れていくべきなのです。
なのに、自から進んで根無し草になって我々は何処へ行こうというのか。もしも経営トップが、「経営と対立するなら出ていくがいい」と、我々を流れの外へ押し出すというのなら。それは我々の意思でこの流れと決別したわけではないので、この流れとの縁はまだ残るかもしれないけれど。
でも、自分たちから進んで流れの外へ出たのなら、ここまでの縁はそこで完全に切れてしまう。そして二度と我々は元の流れとは縁を結べなくなる。
そんな予感がしたんですね。それで我々は会社を辞めるのを思いとどまったのです。