優勝シーンは、「平成の怪物」を参考にした

 ただ、僕にとってあの147キロは投げられて当然の1球でした。正直、もっと出ているんじゃないかと思ったほどです。そのくらい、ピッチャーとして研ぎ澄まされた感覚がありました。

 ワンボール、ツーストライクとなっての5球目、白川英聖のサインはストレートでした。でも僕は首を振った。真っすぐで決めたい気持ちはありましたが、スライダーのほうが打ちとれると思ったんです。そうしたらアウトローを狙ったスライダーが高く抜けて、インハイへ甘く入りました。そのボールを田中くんがマン振りして、これもファウルです。

 その直後、白川がマウンドへ飛んできました。「力入ってるよ、力抜いて、丁寧に」って。あの時の白川、よく勝ち急がずにマウンドへ来てくれたと思います。ボールを丁寧にこねて、帽子をかぶり直して、ロージンを手にとって、落ち着いてから仕切り直します。続く6球目、またもスライダーが真ん中付近へいってしまいましたが、これも田中くんが当ててきて、三塁線へファウル。

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 そして7球目、サインはストレート。今度は僕も頷きました。アウトコースに144キロ、田中くんが振ってきて……この時、バットにかすっていたんじゃないかと思います。それを白川が捕って、三振、試合終了。

 ついに夏の甲子園、優勝です。

 優勝の瞬間、僕はクルッと回ったんですが、あの時、センター方向に向かってガッツポーズしたのは松坂大輔さんのイメージでした。でも、じつは「もしアウトカウントを間違えてガッツポーズしていたら恥ずかしいじゃん」と思っていたんですけどね(笑)。松坂さんの時にはあっという間にみんなが集まってきた印象があったのに、「あれっ、まだ来ないぞ」って。

次の記事に続く 「ものすごくストレスでした」「ここまでするんだ、と…」ハンカチ王子・斎藤佑樹を“甲子園優勝後”に襲った、マスコミ取材の恐怖

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