容姿など、生まれ持ったものに関して何かを言われることに対しては、「私悪くないし」という気持ちがずっとあって。どこか自分を他人事のようにとらえるクセがあるんです。「私のせいではない」という意識が根底にあるから、怒り心頭に発してぶつかるみたいなことはあまりありません。

伊藤亜和さん。

「あなたの言っていることは間違っています。なぜならそれは世界では差別だと考えられているからです」みたいに上から正論を伝えるのではなく、対等に話して言い合いをすることはあります。言い合っているうちに人と人として会話がつながるときがあるんですよ。人間味が垣間見えるその瞬間を見逃さないようにしたいんです。相手の人間らしさを引っ張り出すためにわざと乱暴な言い方をすることもあります。ストレス発散みたいなところもあるのかもしれませんが(笑)。

 私の考える正解に相手が納得してくれるかってあまり大事じゃなくて、向こうの正解を話してくれることに嬉しくなるんですよね。

ADVERTISEMENT

伊藤亜和(いとう・あわ)

1996年生まれ、神奈川県出身。文筆家。学習院大学文学部フランス語圏文化学科卒業。2023年、noteに投稿したエッセイ「パパと私」がX(旧Twitter)上で大きな注目を集め、著名人からも高い評価を受ける。同作を含むエッセイ集『存在の耐えられない愛おしさ』(KADOKAWA)でデビュー。ラジオパーソナリティやテレビ出演など、文筆業以外でも活動の幅を広げている。第19回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞。

次の記事に続く 「お尻とか出して歩きたい」「ラッパーのような存在になりたい」いま最注目の書き手・伊藤亜和(29)が明かす、結婚を経て“得たもの”と“手放したもの”