「ビッグタイトルの作品ですし、声優業界でも話題になった世界を自分が演じることには葛藤もありました。でも、今はすごくわくわくしています」

 こう語るのは、声優の畠中祐さん。池袋のキング・タカシと、トラブルシューター・マコトが活躍する石田衣良さんの大ヒット小説『池袋ウエストゲートパーク』を舞台化した朗読劇に出演する。畠中さんは舞台役者の両親の影響もあり、実は、池袋には幼少期から親しんでいたという。

「小さい頃は父や母に連れられて、大人になってからは友達が出演する舞台を観るために、月に一回ほど芝居を見に行っていました。なので、僕にとって池袋は、マコトとタカシがトラブルを解決する怖い街というよりも、演劇の街なんです」

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畠中祐さん

 朗読劇の原作は、『骨音 池袋ウエストゲートパークⅢ』に収録された「西口ミッドサマー狂乱」だ。畠中さんは、アメリカ人の父に捨てられ、母とも離れ施設で育ち、巨大レイヴイベントの裏ではびこるクスリに溺れる少年、エディを演じる。

「台本を読んで、エディの愛くるしさを感じました。でも、ドラッグに溺れる気持ちの底には、愛されたいという気持ちや強い寂しさがあると思います。エディを演じる上では、心にぽっかりと空いた穴を埋めるために彼が取る行動を自分の体にどう落とし込むか、明日からの稽古に向けて一生懸命考えています」

 エディが抱く欠落感を畠中さんも覚えることがあるかと聞くと、自身の仕事への向き合い方を重ねた。

「やっぱり、一番僕の頭を悩ませるのは仕事なんです。お酒を飲んで仲間と話すことももちろん楽しい。けれど、結局、仕事の悩みは仕事でしか解消できないんですよね。成功が喜びになって、でもまた不安になって……その繰り返しです(笑)」

 今作の目玉の一つは、二日間にわたり行われる公演で、それぞれの日で異なる豪華なキャスト陣。畠中さんが出演する27日の回で共演する一人が、ドラッグを売りさばく組織にエディを引き込む男・イッセイを演じる神谷浩史さんだ。

「行き場が無いエディの漠然とした不安と寂しさが、イッセイに目を付けられてしまう。大先輩の神谷さんのお芝居は抗えない引力があるので、きっとお客様にもその緊張感を体感していただけると思います」

朗読劇『池袋ウエストゲートパーク2026』

 一方、エディを池袋の仲間として守ろうとするマコトを演じるのは畠中さんと同年代の八代拓さん。

「友人としてももう十数年の付き合いで、彼の懐が僕の芝居を受け入れてくれたことが何度もあります。八代さんは直感と俯瞰のバランスがとてもよくて、直感重視で前のめりな僕とは役者のタイプが違う。マコトとタカシほどの最強バディになるかは分かりませんが(笑)、八代さんへの信頼感が、エディのマコトへの思いを演じる上で役立つと感じています」

 将来の目標は「人間くさい、ごろっとした存在の魅力がある役者」と語る畠中さん。「エディの明るさの裏にある孤独を、誰しもが持っているものとして感じていただけるように、自分自身の何かも詰め込んでお届けできたらと思っています」と力強く語った。

はたなかたすく/1994年生まれ。2006年に映画『ナルニア国物語』で声優デビュー。代表作に『ウルトラマンZ』(ウルトラマンゼット役)『僕のヒーローアカデミア』(上鳴電気役)など。

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朗読劇『池袋ウエストゲートパーク2026』
石田衣良デビュー30周年記念 朗読劇『池袋ウエストゲートパーク2026』
9月26日(土)、27日(日)ひらしん平塚文化芸術ホール 大ホール
https://iwgp2026.com/

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