張本が問題視していたのは、踏み出した後に残される、ボールを見極めて対応するための余裕だった。好調時は右足を出しても身体が前へ流れず、球の速度や変化に合わせて振り出すタイミングを調整できる。一方、その余裕を失えば、準備動作とスイングが一続きになり、変化球に対して待ちきれなくなる。

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「探して打つ」と「探しながら打ちにいく」の違いは、持っている力を適切な瞬間に発揮できるかどうかにある。本塁打王を逃した結果だけで指摘の正しさは証明できないが、張本の言葉には、大谷の打撃を支える準備と判断、そのわずかな時間の使い方に目を向けた具体性があった。

村上宗隆の本塁打を「下半身」の動きから説明した

 張本の眼を、より肯定的に確認できるのが2022年8月7日放送の「関口宏のサンデーモーニング」での村上宗隆評だ。5打席連続本塁打を達成した村上について、下半身の安定とタイミングの良さを「あっぱれ」と評価した。足を大きく上げるわけでも、すり足に徹するわけでもない。その動きを観察したうえで、「もっとホームランは増えるでしょう」と述べている。

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 村上は最終的に56本塁打を記録し、打率.318、134打点と合わせて三冠王になった。もちろん、すでに本塁打を量産していた打者のさらなる活躍を見込むことだけなら、特別な予測とはいえない。注目したいのは、その根拠を体格や勢いではなく、下半身とタイミングに置いていた点だ。

「パワーがあるから飛ぶ」で終わらず、「パワーを発揮できる動作が安定しているから、さらに打てる」と読む。これは、結果の称賛ではなく、結果を繰り返せる理由の説明である。さらに、足を上げる動きを一律に否定していた、と理解するのも早計だ。