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張本は2019年、イチローの引退に際し、かつて仰木彬に1軍起用を進言したと振り返っている。賛否が分かれていた特徴的な打撃フォームについて、足を上げるかどうかより、各コースへ無駄なくバットが出る能力を高く評価していた。
坂本には整理できる動きを指摘し、イチローには独特な動作の中でも失われない機能を見た。少なくとも、この2つを併せて読めば、張本の打撃論を「自分と同じ形を押しつけるだけ」と片づけることは難しい。張本の発言すべてを正解にする必要はない。それでも、坂本の歩幅や村上の下半身まで見れば、「精神論だけの人」という評価では捉え切れない。
「喝!」の裏にあった“細かい観察”
古い知見を丸ごと捨てるのでも、実績のある人の言葉だから無条件に信じるのでもない。観察と結果を照合し、使える指摘を残す。その作業こそが、解説を読む側にも求められる。データが示す結果と、目の前で起きている動作。その間をつなぐ視点は、昔の言葉の中にもある。張本勲の解説を振り返る価値は、「喝!」の強さではなく、その奥にあった観察の細かさを取り出すことにある。
