NHK連続テレビ小説『風、薫る』が、いよいよクライマックスに差しかかっている。

 見上愛演じる一ノ瀬りんと、上坂樹里演じる大家(小川)直美。2人のトレインドナースが看護の未来を切り開いていく本作で、物語の鍵を握る人物の一人が、中村倫也演じる柳生藤次だ。

朝ドラ『風、薫る』公式Instagramより

 柳生は、内務省衛生局の役人。赤痢が流行する村へ調査に赴いた際、自らも感染し、りんたちの看護に助けられた。しかし、当初は素性のわからない“謎の男”として登場。村を去るときになってようやく役人であることを明かし、彼女たちの働きを上に報告すると約束する。

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 そして、約1カ月ぶりに再登場した際には、悪質な派出看護婦会の取り締まりを求めてきたりんと直美に、「まずは、その実態を調査することを検討しよう」と返答。しかし実は、すでに調査は始まっていた。なぜ、その事実をりんたちに伏せたのか。真意を明かさない柳生の言動に、SNSでも注目が集まった。

 何を考えているのか、簡単には読み取れない。だからこそ、その真意が気になり、目が離せなくなる。中村は、そんなつかみどころのない人物を演じるとき、ひときわ俳優としての魅力を発揮する。

18歳で出演したドラマ『相棒』で見せた“片鱗”

 中村は高校生の時にスカウトされ、2005年に俳優としてのキャリアをスタート。当初は本名の「中村友也」で活動しており、同年にはドラマ『H2~君といた日々』(TBS系)や映画『七人の弔』、連続テレビ小説『風のハルカ』(NHK)などに出演した。

 2007年には、北乃きい主演のドラマ『ライフ~壮絶なイジメと闘う少女の物語~』(フジテレビ系)で、主人公・歩のクラスメートである石井知典を演じている。過激ないじめ描写が大きな反響を呼んだ当時の話題作だが、そこにブレイク前の中村が出演していたことを知らない人も多いのではないだろうか。

 そんな初期の出演作の中でも、現在につながる中村の持ち味がすでに表れていたのが、『相棒 season4』(テレビ朝日系)第7話だ。

 中村が演じたのは、自宅の郵便受けに入っていたという600万円を交番に届け出る大学生・池田俊太郎。大金の持ち主を名乗る人々が次々と現れるなか、実は騒動そのものが池田の仕組んだ“社会実験”だったことが明らかになる。

 一見すると、おとなしく真面目そうな青年。しかし、その裏には、自分の好奇心を満たすために大金と人々の欲望を利用する危うさが潜んでいた。柔らかな雰囲気と、その奥に潜む不穏さを同時に感じさせる。相反する二つの顔を一人の人物に共存させる表現こそ、中村の持ち味だ。