そもそも、フードコートに定食を主力とするチェーン店が入ることはきわめて少ない。その大きな理由が、オペレーションだ。

 定食は品目が多く、焼く、揚げる、煮るといった複数の調理工程に加え、ご飯、みそ汁、副菜までそろえて提供する必要がある。休日のお昼どきなど来客が集中する時間帯に、多くの注文を短時間でさばく必要があるフードコートでは、決して扱いやすい業態ではないのだ。そう考えると、スタッフ3人という最小限の人数で提供時間10分以下というオペレーションを回している点は十分に健闘しているといっていい。

 大戸屋がフードコートに適応したハイレベルなオペレーションを実現できた背景には、同じコロワイドグループの「牛角焼肉食堂」の存在がある。

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「牛角焼肉食堂」は牛角ブランドのフードコート専門店で、鉄板焼肉や焼肉丼などを中心に90店舗以上のフードコートに出店を拡大してきた。その過程でフードコート向けのメニューの再設計や、限られた厨房スペースで少人数でピーク帯の注文をさばくノウハウを蓄積されており、そうした経験が、大戸屋のフードコートモデルにも生かされているのは間違いない。

 大戸屋が国内のフードコートへ初めて進出したのは2021年10月。1号店は「イオンモール高崎店」で、それから約5年をかけて10店舗まで広げてきた。

 フードコートでは難易度の高い定食という業態だが、店舗を増やしながら着実にオペレーションを磨いてきた段階ともいえる。ノウハウが蓄積したこれから、出店ペースが上がる可能性もありそうだ。

当初はコロワイドグループの買収を否定的に見ていたが…

現在はかっぱ寿司や牛角、甘太郎などを抱えるコロワイドグループの一員 コロワイド公式サイト

 大戸屋が2021年にフードコート進出を決めた背景には、2020年の夏に敵対的買収によってコロワイドグループに編入されたことが大きなきっかけだった。

 固定ファンを持つ大戸屋の敵対的買収には賛否両論が巻き起こり、実は筆者もこの買収を否定的に見ていた1人だ。

 理由としては、コロワイドが大戸屋以前に行ったブランド買収が必ずしも成功してきたとは言えないことに加え、店内調理や手作りといった「大戸屋らしさ」が、効率化の中で失われる懸念があったからだ。