妻を殺された被害者遺族は「加害者の肩を持ち過ぎ」「誰ともそんな付き合いはしておらん」と、報じられてきた“村八分”説への不満を露わにする。
果たして事件の背後には何が存在していたのか。一家のルーツや「平家の落人伝説」を辿り、限界集落の深層へ迫る……。ノンフィクション作家の八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)
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妻を殺された男
男は殺された河村聡子さんの夫だった。
「事件が起きて、加害者が村八分にされておって、事件を起こしただ、みんな好き勝手なことを書いているだろう。事件を起こした人間の肩を持ち過ぎなんだよぉ。村の仕事を人一倍手伝ったなんて書いてあるけど、誰ともそんな付き合いはしておらんよ。
あそこの家は土地も持っておらんかったし、農作業なんてしとらん。そもそもあそこのオヤジというのが、ここから少し離れた水上というところから出てきて、まともに仕事をしない、のうてだった。こどもはようけおったから食うに困って、人んところの米を盗んだりして、ろくなもんじゃなかったんだよ」
