政治権力が捜査に影響を与えたのではないか
「週刊文春」がいわゆる「木原事件」を初めて報じたのは、今から約3年前の2023年7月6日発売号だ。
〈岸田最側近 木原副長官衝撃音声「俺がいないと妻がすぐ連行される」〉と題した記事は、自民党の木原誠二官房副長官(当時)の妻・X子さんが、元夫の不審死を巡り、重要参考人として事情聴取を受けたことを明らかにしたものだ。
木原氏の政治権力が、妻であるX子さんの捜査に影響を与えたのではないか――。
計16回にのぼった「木原事件」を巡る連載記事における、「週刊文春」の一貫した問題意識である。
不審死した元夫とは、安田種雄さん(享年28)。雑誌のモデルとしても活躍していた2人は、02年5月に結婚し、2人の子宝にも恵まれた。ところがその後、夫婦関係が悪化。4年後の06年春先には、X子さんは離婚を求めるようになったが、種雄さんは首を縦に振らなかったという。
遺体の傍らに置かれた細長いナイフ
事件が発覚したのは、同年4月10日未明だった。深夜3時過ぎ、種雄さんの父が息子夫婦の住む一軒家を訪れたところ、2階で仰向けに倒れている種雄さんを発見。傍らには細長いナイフが置かれていた。
自宅の中にはX子さんがいたものの、「自殺の可能性が高い」とされ、捜査は一旦終結に向かった。ところが12年後の18年4月、事態は急展開を迎える。捜査資料を分析した警視庁大塚警察署の女性刑事らが、ナイフへの血の付き方などに着目。自殺にしては不自然だと指摘したのだ。
同年10月9日、捜査一課はX子さんの実家を家宅捜索。だが、取り調べを受けたX子さんは事件への関与を否認し、「わからない」「記憶にない」といった供述を繰り返した。
捜査員はX子さんとその後結婚していた木原氏とも“面会”したものの、10月下旬になると、X子さんへの聴取は突然幕を閉じた。
「週刊文春」は3年前、実際に捜査を手掛けた20人を超える捜査関係者を取材。彼らの多くはこう無念の思いを吐露していた。

