自分が発信力を高める意味
――お母様に対する「恩返ししたい」という思いも強いですよね。
茜羽 それは人一倍あるかもしれません。私の唯一の心残りは、オリンピックに出てメダルを母にかけてあげられなかったことなんです。
バドミントンは「2世は弱い」と言われています。母は中国の南通(ナントン)という生まれ故郷に記念館があるほどの実力者ですから、その娘である私は期待されつつも負ければ容赦なく批判されてきました。
負けた試合のあと、「呉さんがいるからダメなんだ」と平気で母を名指しする監督もいました。勝つことでしか認められない世界だし、母の指導が間違っていないことを証明するためにも、世界を相手に戦える選手になることが私の目標でした。
――選手としての実力は誰もが認めるところですが、指導者としてのお母様の評価には不満を持っている。
茜羽 そうですね。どの世界もそうだと思いますが、本当に実績を残した人は決して威張り散らすことはありません。私の母も、非常に謙虚な指導者だと思います。けれどもそれが災いして、軽い扱いをされる場面をたびたび見てきました。
コーチとして着任し、母と二人三脚でやってきたある監督は、有名選手が育った実績を独り占めしようと、あるときから母をいびり始めました。遠征の際に母の宿だけを取らない、などその行動は露骨になってきて、見ていられないほどでした。バドミントンの実力とは関係のない、政治力のような部分が強いことは、非常に残念に思ったのを覚えています。
――ご自身が影響力を持ちたいのは、そうした意味合いもある。
茜羽 もしかすると、それもあるかもしれません。芸能事務所に入ろうと考えたときにさまざまな大人から騙されそうになったり、バドミントン選手時代も権勢欲に飢えた大人の姿を見てきたり……。自分がひとりの力でさまざまな発信力を持てば、正しい方向に使えるのではないかと思う場面は多々ありました。
これからもっと多くの人たちに存在を知ってもらって、主張すべきことは主張していきたいと思っています。
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