3/5ページ目
この記事を1ページ目から読む
なぜあんな事件を起こしたのか?
駅から、一五分ほど歩いただろうか、Cの家があった住宅街の一角に出た。すぐ前には公園がある。家は事件後取り壊されているが、区画は当時のままである。
駅からここまで歩いてくる間、子供連れの若い女性が目についた。彼女たちの年齢は三○代から四○代だろう。事件のことは知っているに違いないが、どんな思いを抱いているのだろうか。
「うちは昭和四七(一九七二)年にこのあたりの分譲住宅を買ったんです。四月に入居して、その一ヶ月か二ヶ月後にあの一家が移ってきました。あそこの家は当時の値段で一二〇〇万円ぐらいだったと思いますよ」
言葉の端々に東北訛りが残る近所の住民が、C一家がこの土地へやってきた頃のことを覚えていた。
Cの家は取り壊されていると先に書いたが、事件当時、彼らが玄関を使わず直接二階から出入りするために使っていた電柱は、いまも家に寄り添うように残っていた。
一九七二年にこの地へと引っ越してきたCの一家。ちょうどCが生まれた年のことである。共産党員だった両親は躾も厳しかったというが、いつしかCは道を外れていった。
それにしてもなんであんな事件を起こしたのか。