「小島監督じゃないメタルギアは、やりたくない」

――大塚さんと小島監督の関係でいえば、2019年、小島監督の独立後初の作品となる『DEATH STRANDING』の発売記念イベントで、感極まって大塚さんが泣いていらっしゃったのが印象的でした。

大塚 小島さんはコナミから離れて、途方に暮れちゃうじゃないですか。まだ終わっていないプロジェクトだってあったのに。それで小さなコジマプロダクションという舟を作って漕ぎ出して、紆余曲折があって。ソニーが助けてくれて、それでようやっと完成したのが『DEATH STRANDING』というゲームです。

 会社を辞めた後に苦労を重ねて、大作を作りきった。そう思ったら泣けてくるじゃないですか。だって、これまで一緒にやってきたんだから。

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©三宅史郎/文藝春秋

――イベントで大塚さんは「小島さんの背中に孤独の『孤』の文字が見えた」とお話しになっていました。ある種の悲壮感のようなものは感じていたのでしょうか。

大塚 感じていましたね。小島監督はうちの弟と同い年だから、僕よりちょっと若いくらい。同じような時代を一緒に生き、育っているわけだから、時代のメンタリティとしては非常に近いわけです。

 部下たちも引っ張っていかなきゃいけない立場だし、ただ、会社を出て独立して金はない。『DEATH STRANDING』がもしコケたらどうなるんだろうという恐怖感と戦っていたと思います。だって失敗すれば、一生働いても返せない借金が簡単にできちゃうわけです。そりゃ怖いだろっていうのはありますよね。だから完成して、「発売です」となったら、泣いちゃいました。

――大塚さんは小島監督に本当に強い思いがあるんですね。

大塚 基本的に我々声優は、頼まれればやるのが仕事なんです。ただ、『メタルギア』シリーズに関しては、小島監督が生んだもので、僕はそれを一緒に作ってきたという自負がある。だから「小島監督が絡んでないメタルギアは、僕はやりたくない」って言ったんです。言った手前、後に引けなくなっちゃってるんですけど(笑)。

©三宅史郎/文藝春秋

――『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズのスネークの声は、新録ではないと言われていますね。

大塚:『スマブラ』はね、小島監督がキャラを貸し出しているから何の問題もないです。ただ、確かに『スマブラ』では新しいセリフは何も録ってないですよ。