都会的な長編成の電車からライオンズカラーを帯に巻いた4両編成の小さな電車に変わって、少しずつ山を登ってゆく。気がついたときにはすっかり車窓は山。両脇には山が迫り、飯能までとはまるで別路線の趣だ。

 そして飯能駅からおおよそ30分弱で、吾野駅に着く。高麗川沿い、周囲を山に囲まれた静かな駅である。

 吾野駅は、北に高麗川と川沿いの集落を見下ろす高台にある。広い島式ホームと、あとは側線も。山側には墓地が見える。駅の改札までは構内踏切を通る構造のだが、その踏切の近くに0キロポストがあった。池袋線がここで終わり、西武秩父線がはじまるという証明に他ならない。何の変哲もない山奥の小さな駅は、確かに池袋線の終点なのである。

ADVERTISEMENT

吾野駅前から高麗川沿いの町並を見下ろす
顔振峠や子の権現への案内板。ハイキングの拠点駅になっている
駅前には登山茶屋のような休憩所があった

古いお寺の正体は…

 改札を抜けると、その正面……というか5歩も歩けばというほど目の前に、ハイカー向けの休憩所があった。脇のフェンスには、顔振峠や子の権現への案内看板も掲げられている。ハイキング客が駅前の休憩所でひと休みをしたり、食事を取ったりするのだろうか。

吾野駅。駅前には広いスペース
駅前から町中へ下る道は一本道だ

 そんな休憩所の前を通って駅前広場に出る。広場といっても都心の駅で見かけるようなロータリーではなくて、駐車場を兼ねた広いスペースがあるだけだ。ここから坂道を下れば、吾野駅前の町である。

 坂道の途中には、法光寺という立派なお寺があった。