「自分はただ東大生なだけなんじゃ…」大学時代に抱いていた“コンプレックス”

――東大に入学してから、「自分のアイデンティティが『東大生であること』しかない」と思うようになったそうですが、それはどうしてですか。

田中 理由が2つあるんですけど、「打ち込むことがない」という状態がすごくストレスだったんです。中学校の時はサッカーを頑張って、高校の時は勉強を頑張ってと、ずっと頑張るものがあったおかげであまり考えなくてよかったんですけれど。

 1年生の時は文化祭やサークル活動があって楽しかったんですが、2年生になる年にコロナ禍になってしまって。暇な状態って結構ストレスだと思うんですけど、その暇に耐えられなくて……というのがまず1つ目の理由です。

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 2つ目は、東大生ではない人との出会いでした。地元の同期や、中学で別の道に進んだ方の中には、看護師になったり幼稚園の先生になられた方もいたのですが、そういう方の話を聞いていると、「自分の将来を考えて、自分の人生を歩いている」と感じたんです。

 自分の軸があって、やりたいことがあって、看護師になりたくて専門学校に入って、というように、自分をしっかり持って生き生きと人生を送っている。

 私のように流れに沿って人生を歩んでいるのとは違って、そっちの方がすごく素敵だと感じました。「自分はただ東大生なだけなんじゃないか」という思いがコンプレックスになってしまったんです。

 

「自分の仕事のできなさに気が付いて」長期インターンでの貴重な経験

――そう思って、何か行動をしてみたのでしょうか。

田中 コロナ禍で人とコミュニケーションをとる機会もなくなってしまったので、「何かしなきゃ」という気持ちがすごくあったんですね。それで「仕事をしよう」と思って、2年生の終わりから長期インターンを始めました。

 実家暮らしだったのですが、住む場所、行く場所、関わる人が変われば自分も人として変われるような気がして、その時期に一人暮らしも始めたんです。

――2年生からインターンに行ける会社もあるのですね。

田中 人手が足りないスタートアップの会社と、やる気のある若者がマッチングしているような感じですね。コロナ禍で完全に大学に行けなくなってしまったので、周りにも長期インターンに行っている人が多かったです。

――インターンで仕事をするようになって、心境の変化はありましたか。

田中 3社でインターンをしていたのですが、結果として、マーケティングの仕事に興味が湧きました。

 1社目は、もともと「かっこいい」という理由で「投資銀行に就職したい」と思っていたので、M&Aの領域に入っておけば強みになると思って入ったんです。でも、そこで自分の仕事のできなさに気が付いて。だから「ちゃんと仕事について勉強しよう」と思い、2社目の広告代理店に入りました。