非常にユーモアのある表現で、良い友達になれそうだと思ったが、男性たちは当意即妙に対応する同世代の女友達より、聞き分けの良いパートナーを求めていたらしい。詳細は拙著『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』に記したので、興味がある奇特な方は是非。
実験の結果、私でもモテに近づける手段はあるが、それは私を幸せにはしないと理解した。以降、「モテたい!」とふざけ半分で言うことはあれど、それが私を幸せにしないことは十分わかっているので、そこに人生のリソースを割くことがなくなった。
「欲望の仕分け」をしてみる
仕事も同じだ。働き始める前までは「MBAが欲しい」と思っていたが、いざ働き始めてMBAを取得するためのスクールに体験入学してみると、私はまるで白い羊たちの群れに放り込まれた黒羊だった。生きるバイブスが、あまりに違いすぎる。
そこで気がついた。私はこういう賢そうな人に嫉妬があり、自分もそうみられたかっただけなのだと。MBAを取得したあとにやりたい仕事のイメージがないことにも気づいた。つまり、これは私を幸せにはしない。他人の欲望だからである。このように、私的トライアル&エラーを繰り返しながら、欲望の精査を繰り返してきた。
欲望の仕分けが終わると、驚くほど自分の輪郭が曖昧なことに気づき、愕然とする人もいるだろう。なにが欲しいのか、なにが私を幸せにするのか見当もつかない、と。
だとするならば、無意識に時間を使ったことがなにかあったかを探してみてほしい。時間を忘れるほど熱中したことがあったならば、それは欲望かもしれない。「こんな無駄なことに時間を使って」とジャッジしないこと。ひとまず、なにに熱中したかを見つけるのが大切だ。
今月お金を使ったものをリストにしてみるのも有益だ。欲しかったのかよくわからないまま買ったものはないだろうか。あったら、なぜそれを手にとったか考えてみてほしい。他人の欲望が財布を開かせたのかもしれないし、本当に欲しい理由があっても、それを認めたくないのかもしれない。
自分の欲望には価値がないと決めつけ、頑なに目を背ける人もいる。自分にはなにもないと、持っている資質を厳しく糾弾し、無価値化する人もいる。あるいは、「他人の欲望で生きることをやめたら、指針を失ってしまう」という恐れをもつ人も。どれも、自分の人生を他人事として生きているからそうなる。これについては追って述べる。
※他者からの評価を上手に活用する「脳外上場」や、仕事を「他人事化」すると起きることなどについて書かれた記事全文は、『週刊文春WOMAN 2026秋号』で読むことができます。