9月28日にスタートした2026年後期NHK朝ドラ『ブラッサム』。本作で、主人公・葉野珠(石橋静河)が作家として歩み始める瞬間に立ち会う敏腕編集者・山中勇三を演じるのが井浦新(52)だ。
デビュー当初は「ARATA」名義でモデルとして活動していた彼が、俳優として確かな存在感を示し始めた背景には、是枝裕和や若松孝二といった映画監督たちとの強烈な出会いがあった。その後、次第に映画からテレビドラマへと活動の場を広げていくが、そこには知られざる葛藤が……。(全2回の2回目)
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井浦新は2012年、主演映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』の公開を機に芸名をARATAから本名へと改めた。この年にはまた、NHKの大河ドラマ『平清盛』で崇徳上皇を演じている。もともと井浦は、浮世絵師の歌川国芳が描いた怨霊になった崇徳院の絵に強烈な印象を受けたのをきっかけに、崇徳院について色々調べていた。それだけに、NHKがそうとは知らずにオファーしてきたときには驚いたという(『GALAC』2012年7月号)。
日本の歴史や美術への興味は、父親の影響が大きい。子供のころには春夏冬の長い休みともなると家族で旅行をし、遺跡や神社仏閣などを訪ねた。家にはたくさんの民具や土器などの収集品があり、土偶をおもちゃ代わりに遊ぶような子供時代だったとか。
大人になってからも美術鑑賞が趣味で、のちにはそれが仕事と結びつき、NHKのEテレで『日曜美術館』の司会を務めるなどした。また、文化財の修復や伝統工芸の技術継承支援を目的に「匠文化機構」を自ら立ち上げ、活動を行っている。
社会に対するアクションを続ける
このほかにも社会に対してさまざまなアクションを展開している。コロナ禍の時期には苦境に陥ったミニシアター(単館の映画館)の運営を応援するため、同業の渡辺真起子と斎藤工に声をかけて「ミニシアターパーク」というキャンペーンを立ち上げた。
近年では夫人と一緒に自然由来のシャンプーをプロデュースし、それを販売するための会社も経営する。子育てをするなかで使い続けたいシャンプーがなかったことがきっかけで、夫婦で相談した結果、自分たちでつくろうと思い立ったという。
妻のあいさんは大学時代に共通の友人を介して10歳上の井浦と知り合い、その後、一般企業に就職し、24歳で結婚、2児を儲けた。20年近く彼を見てきたあいさんによれば、《彼は、趣味も仕事も遊びもすべてに全力投球で、すべてがつながっているんです。例えば、魚屋さんに買い物に出かけて、お店の人の手元をじっと見ていたら、それがそのまま役作りにつながっていたり》するという(「VERY」2022年11月5日配信)。

