大統領杯の予定変更

 当日、私たち先遣スタッフは午後1時に国技館集合だった。午後2時には大統領杯が宿泊先のホテルから届くことになっていて、それを控え室に配置すること、大統領の座る椅子の確認など、大統領の到着までの間に細部の最終確認をすることになっていた。

 両国に集合した頃、ホテルから連絡が入った。日曜日だったこともあり、宿泊先のホテルは、結婚式などでロビーに多くの客がいる。そこで、大統領杯をしばらく展示したいという。大統領杯がホテルから国技館へ到着するのは3時半ごろになる、ということだった。

 ようやく届くと、控え室で急いで梱包を解き、組み立てた。白手袋をつけたギフト担当の儀典官が表面の指紋を拭き取り、総理大臣杯の隣に置いた。米大統領杯は高さ約137センチ、重さ約30キロ強。並べてみると、高さ約85センチの内閣総理大臣杯よりはるかに大きいが、重さは総理大臣杯の方が約40キロとさらに重かった。

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 先遣の打ち合わせでは、優勝杯の授与の際、朝乃山関に一緒に持ち上げて支えてもらう案も出たが、トランプ大統領は自分で持ち上げて授与する意向を示した。安倍首相も、自身で総理大臣杯を朝乃山関に手渡した。

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 表に出す話ではないが、大統領が読み上げる表彰状には、こちらで小さく発音記号を入れておいた。表彰式で朝乃山関の名を正しく発音できるようにするためである。観衆の視線と無数のカメラが集まる中、力士の健闘をたたえる表彰式で、英語話者が日本語の名前を正確に読み上げるのは簡単ではない。そうした場面に備えるための準備だった。結果として、トランプ大統領は「アサノヤマヒデキ」と、はっきり聞き取れる発音で朝乃山関の名を読み上げた。