沖縄県民にとっての日常食でありソウルフード、沖縄そばが世界へ羽ばたこうとしている。
沖縄県内で複数店舗を展開する人気店「いしぐふー」が、2026年2月に「沖縄そば専門店」として海外進出を果たした。選んだのは、台湾だ。沖縄では一般的に800円前後で食べられる中、台湾では1杯2000円、セットで3000円という高単価ながら人気を集めている。
果たして沖縄そばは、和食の代表格であるラーメンのようになれるのか。実際に現地のお店に行って食べてみながら、考えていきたい。
「沖縄そば」にひと工夫を加え、ヒット
台湾北部・新竹県にある「石工夫日麺」。壁には沖縄の地図をモチーフにしたポスターが貼られ、レジの前には守り神のシーサー。サーバーからなみなみと注がれたオリオンビールに、店内のBGMは沖縄音楽の『ハイサイおじさん』が流れる。沖縄出身の身からすれば、完全なるホーム感のある空間だが、筆者はいま台湾にいる。
ここ「石工夫日麺」は、沖縄県浦添市にある「鶏そば屋いしぐふー」の味を踏襲した2号店的存在だ。「いしぐふー」は各店舗でスタイルが違うが、同店は沖縄そば界でも珍しい鶏だしを基本としている。
一般的な沖縄そばはかつおと豚、昆布のブレンドでだしを取ることが多い中、鶏の香りがふわりと際立つ、あっさりした優しいうま味が特徴だ。清らかなスープは気づけば全部飲み干しているほど。麺がもちもちとして小麦の風味が感じられることも、人気の理由である。
近所に住むというある男性は、週3~4回は訪れているという常連客。「美味しいものを求めてあちこち歩き回っています。私は麺が好きなんですが、このお店が一番おいしいですよ!」。隣にちょこんと座っていた小さな我が子にも目をやり「子どもにも良いと思います。脂っこくないですしね」と話す。
この「脂っこくない」というのが、実は台湾の麺カルチャーでは重要なことなのだという。
同店のオーナーを務める王明宗さん(50)は、もともと新竹県で飲食業を展開しており、2016年にちょうど旅行で訪れていた沖縄で「鶏そば屋いしぐふー」の味に魅了された。
「こんな美味しい“ラーメン”は他にないと思いました。この味が台湾で食べられないのが残念なぐらいだった」
それから9年後に、「鶏そば屋いしぐふー」店長の稲福光治さん(46)と出会ったことで台湾出店につながった。



