「沖縄では考えられない」高くても売れるワケとは?

 実は「石工夫日麺」が店舗を構える新竹県竹北市は、台湾が世界的にも牽引して注目を集めている半導体産業が盛んなエリア。半導体マネーの恩恵を受けた経済的に余裕のある人々が多く住んでいるのだ。

 王さんはこのエリアについて「食事の値段が高くてもそれに抵抗感を示すのではなく、美味しければ高さ故の価値を感じて何度も来てくれる。とにかくクオリティを最優先することでお客さんに来てもらおうと思いました」と話す。ただ、それを当初聞かされた稲福さんは半信半疑状態だった。

「最初は王さんが話を盛りまくっていると思いました(笑)。こんな高い金額を出して、知らない沖縄そばを食べてくれる人がいるものなのかな、と。王さんは『とにかく俺を信じてくれ』とすごい自信でした」

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台湾の「石工夫日麺」の元祖店である沖縄の「鶏そば屋いしぐふー」店長の稲福光治さん(筆者撮影)

 その背中に身を任せるように出店を果たすと、目標売上を早々に達成し、客足はどんどん増えていった。「考えられないですよね。家族連れで来たら昼食だけで1万円ぐらい使って頂いて。沖縄で沖縄そばを食べる時では考えられない金銭感覚です」(稲福さん)

ラーメンと思われてもいいやと思っていたが……

 沖縄そばは海外でほとんど認知されていないのが現状で、国内でも日常の中にあるメニューとは言えないだろう。沖縄には毎年100万人近くの観光客が台湾から訪れるものの、王さんですら当初、いしぐふーの沖縄そばをラーメンの一種だと勘違いしていたほどだった。

「そもそも台湾の人は『沖縄そば』を知らないので、沖縄に旅行に行っても検索ワードにすら入れることがありません」と王さん。稲福さんも「美味しいと思って食べてもらえるなら、ラーメンと思われていても別に良いのかな」と思っていたという。