ラーメンに続く「和食」になれるか

 しかし、周囲からの助言もあって沖縄そば店としてのイメージを強く打ち出すことに決めた。沖縄そばという文化ごと啓発していこうという意気込みを込めている。

 稲福さんはこう語る。

「台湾にはすでにラーメン店が多くありますからね。ライバルのたくさんいるラーメン店のうちの一つとして勝負するよりも、唯一無二の沖縄そば店として勝負できることにチャンスを感じています。

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 沖縄そばと打ち出す前は、ネットの口コミで『これはラーメンじゃない。味が薄い』と書かれてしまうこともありました。ラーメンではなくて沖縄そばなので、当然ですよね。こちらが『沖縄そばを食べてもらっているんだ』という確固たる姿勢を持つことの大切さを再認識しました」

 王さんは「台湾では日本食は昔から親しみがあります」と語る。実際に、牛丼や回転寿司、そしてラーメンやうどんなど、日本発の日本食チェーン店は台湾で当たり前に見かける。

 沖縄そばを広げるという意味では「日本の料理を日本人が作っているお店」という時点で、台湾では優位性があるという。店長は沖縄のいしぐふーで厨房に立っていた原田拓哉さん(39)が務め、一杯一杯丁寧に作り出していく。

「いしぐふーの技術やサービスの精神を学んで、台湾中にこの味を広めていきたい。台湾人の日常にある味にしたいです」と語り、王さん自ら接客も行う。本場の雰囲気ごと感じてもらおうと、挨拶は日本語で「いらっしゃいませ!」。一過性のブームより、地元にしっかり浸透を。沖縄そばを息の長い食文化として受け入れてもらおうと、王さんと稲福さんでそのように何度も確認し合った。

石工夫日麺の外観。いしぐふー系列がかつて沖縄のテレビ番組企画で獲得した「初代沖縄そば王」の看板も(筆者撮影)

 ラーメンは今や世界的に人気の和食だ。ここ台湾では、比較的初期の1994年に熊本の味千ラーメンが出店したという縁がある。そういう意味で台湾という地は、日本の麺を世界的に広げたきっかけの一つという確固たる実績がある。

 果たして沖縄そばは、まずは飛行機で1時間ほどの“一番近い外国”台湾で浸透するのか。そして、ラーメンに続く定番の日本麺になるのか。日本国内に視点を移すと、そういえば、ベトナムのフォーも、タイのパッタイも、日本人にとって一般的になったのはここ数十年の出来事ではないか。石工夫日麺は、“沖縄そばを世界へ”の先駆者として奔走する。

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