女性向けのクルマが変わった理由①:クルマの売れ筋が変わった
90年代に入るとそれまでの女性仕様車は目立たなくなっていった。しかしクルマの販売台数が多くなってくると、女性向けのクルマも変化していく。
人気芸能人をCMキャラクターに置いて、女性向けをイメージさせたようなちょっと特徴的なモデルが登場したのは90年代だ。
マツダはレビューやキャロルといった、丸みを強調したデザインとカラフルなボディカラーで独自のキャラクターを展開し、その遊び心で人気を得ていく。ただしレビューは、価格が割高だったこともあり、ヒット作とまではいかなかったようだ。
日産も2代目のマーチにそれまでになかったようなボディカラーを設定し、丸みを帯びたデザインと共に街での存在感を高めるクルマへと仕立てた。3代目となると内装もグッとオシャレで質感高いものとして、女性ユーザーを多く捉えることに成功するのだ。
また日産はキューブの2代目でマーチ同様に凝ったボディカラーやデザインを展開し、これが女性ユーザーにも大いに歓迎された。マーチと比べやや大柄だがその分居住性や積載性にも優れ、ボクシーなデザインも角が取れたスムーズな仕上げで、女性受けが良かったようだ。
これらは女性向けとは謳っていないものの、女性ユーザーの獲得がクルマ本体から考えられており、それまでの特別仕様車や限定車とは明らかに考え方のレベルが違っていた。
鉄道の廃線などにより地方の通勤でクルマが欠かせない環境になっていく(これはどちらが先かという話にもなるが)ことと、共働きや女性の総合職への進出などで通勤でのクルマ利用が上昇したことが、女性のクルマ利用を自然と高めていくのだ。
女性向けのクルマが変わった理由②:クルマの生産方式が変わった
2000年代に入ると、まずクルマの作り方が変わっていく。昔はクルマの組み立て作業が複雑で手作業も多かったことから、装備の差がコストにそのまま反映された。
しかし最近のクルマはモジュール構造となって、電子制御の装備などは集約されて組み付けられているものもある。
こうなってくると色々と細かく仕様を用意するより、同じ仕様を大量生産した方が、全グレード通して考えるとコストダウンに繋がることもあるのだ。つまり特別仕様で女性仕様車をわざわざ設定する方がコストアップになってしまうと、そもそも売れるクルマではなくなってしまうのである。
その一方で、軽自動車の市場が広がったことから、自動車メーカーも同じプラットフォームや部品をベースに、多様なユーザーニーズをカバーするためにモデルバリエーションを増やすようになる。
通常グレードとカスタムグレードといったようにバンパーやライト、フロントグリルなどを変えて印象を変えるモデルもあれば、ボディパネルごと作り替えて派生モデルを生み出すようにもなったのだ。
そうした派生モデルの中で女性ユーザーを意識したモデルも作り上げられるようになる。アルトラパンやミラココアといったモデルが代表的なモデルだ。こうして女性向けのクルマは、より根本から作り込まれるようになっていく。
