保育園にスーパー、ファミレスに公園と、駐車場にN-BOXやスペーシアといった背の高い軽自動車が並ぶ光景は、いまやすっかり見慣れたものになった。

 これら「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンルを切り拓いたのが、2003年に登場したダイハツ・タントである。子育て世代を中心に、日常の足を長年支えてきた一台だが、国民車となったN-BOXに比べ、どこか「ヤンチャ」な顔もあわせもつ。

 少し地方に足を運べば、ダッシュボードに白いモフモフ、ルームミラーには蝶や葉っぱの芳香剤というように、内装を飾り立てた“ギャルママ仕様”のタントを今でも見かけることがある。

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 “派手好き”な層から愛されるタントの魅力は、一体どこから来るのだろうか。タントの歴史を振り返りながら、この車が改造ベースとして好まれる背景と、今なおカスタムに熱中するオーナーたちの姿を探っていく。

「軽で十分」な車内スペース

 2003年11月、「親子にピッタント」というキャッチフレーズとともに、初代タントが登場する。その最大の特徴は背の高さにあり、当時スタンダードだったワゴンRやムーヴよりも10cmほど高いボディは、チャイルドシートの乗せ降ろしや車内での着替えなど、育児中の移動にまつわるストレスを大幅に軽減してくれた。

初代タント ©天然ガス 

 もうひとつ画期的だったのが、2007年に登場した2代目でスライドドアを採用したことだ。雨の日や狭い駐車場でも子どもや荷物をスムーズに乗せられる利便性から、子育ての「新しい定番」としての地位を確立していく。販売台数も年間15万台規模に上昇し、軽市場の首位を争うまでになっていった。

2代目タント

 さらに、タントの購入層は子育て中の母親ばかりではない。長年、軽の登録済未使用車専門店に勤めてきた50代男性は、タントのオーナー層について次のように語る。

「やっぱり女性が大半ですが、高齢の方が購入されるケースも非常に多いです。とくに60代以上だと、男性の割合も増えますね。『もうあまり遠出もしないし』と、乗り降りや運転のしやすさを重視しているんだと思います。

 高齢のご夫婦だとこれ一台で済ませる方も多いですし、たとえばお子さんが一人の若いご夫婦なんかでも、『ミニバンまでは必要ないから』と、とりあえずこういったスーパーハイトワゴンだけでやり繰りしているケースも見かけます」

 このように、タントの利便性は「下駄としてのセカンドカー」という従来の軽の枠を越え、高齢世帯やファミリー層がメインで使う車としても通用するものになっていった。