同期の序列が明確になった結果…

 結局、私が学んだ営業の要諦は単純だった。人は商品を買うのではなく“納得”を買うのだ。それは相手を信用できるかどうかで決まる。時間は足し算、知識は掛け算、紹介は累乗、それらすべての土台になるのは信用なのだ。

 人見知りで押しが弱く、強引な営業ができなかった私は、そんな自分なりの営業を積み重ねることで、少しずつ成績を伸ばしていった。

 そして、このころになると同期のあいだでも序列が明確になっていった。落ちこぼれたのは尾川君だった。体力なら誰にも負けなかったが、彼は気が優しすぎた。お客に強く商品を勧めることができず、営業成績は伸びない。藤堂課長から叱責されることも増えていった。尾川君はよく私に愚痴った。

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「俺、人にいらないって言われちゃうと、無理に押すことができないんだよ。数字のために電話して断られて、また電話する。なんのためにこんなことしてるんだろって思うよ。もう転職したいよ」

 腕相撲なら相手をねじ伏せられる男が、営業では客を押し切れなかったのだ。

次の記事に続く 「泣いたらあかん。今回の150万は授業料や」顧客におすすめしたのは“廃業直前の山一證券の株”…土下座までして謝った新人証券マンが最後は「許された」ワケ