トンネルを嫌いな人はいないだろう。かといって好きな人も少ないと思うが、山を貫くトンネルに魅力を感じる者は少なからず存在する。私もそのうちの一人だ。
最新技術によって掘削された巨大なトンネルもあれば、先人たちが手作業で山を貫いたトンネルもある。
昔に掘られたトンネルは隧道(ずいどう)と呼ばれることが多い。隧道とトンネルは全く同じ意味の言葉だが、私としては、手作業で掘られた昔ながらの隧道に魅力を感じることが多く、「ずいどう」という言葉の響きさえ愛おしく感じる。
日本で最も狭いトンネル
静岡県掛川市にある岩谷隧道は、自動車で通行できる公道としては日本で最も狭いトンネルだといわれている。私はこれまでに何度も訪れているが、最初に通った時のことを今でも鮮明に覚えている。
日本でも屈指の隧道地帯といえる掛川市周辺を探索し、日が傾いてきた頃、私は岩谷隧道に向かった。
隧道にありがちな山奥ではなく、ごく普通の住宅街から、掛川市道である狭い道を進む。すると、
“軽自動車以外は通行できません”
と書かれた看板が立てられていた。
幸いにも私が乗っているのは軽自動車だ。隧道巡りをしていると、こうした看板を時々見かけるため、あまり意識せずに車を進めた。
看板を通過した直後、予告通り狭くなった。コンクリート舗装された道は軽自動車でギリギリの幅しかなく、右も左も段差があって、踏み外すと脱輪してしまう。
本当にギリギリで、もしも道が少しでもカーブしていれば、内輪差で後輪が脱輪してしまいそうだ。さながら自動車で平均台を通っているようだ。隧道を前に、緊張感が一気に高まった。



