その後、トヨタと日産は“タクシー専用車両”を開発した
大衆車をタクシー車両に採用しなかったのは、耐久性だけでなく乗り心地や居住性の問題も大きい。これが2つめの理由だ。公共交通機関としては高い運賃となるタクシーだけに、利用客にはゆったりと乗車してもらい、高い満足感を得て欲しい。そうしたタクシー会社の要望がタクシー車両を定めていったのだ。
そうしてクラウンとセドリック/グロリアは長い間、日本のタクシー車両として使われてきた。しかし乗用車としてのクラウンとセドリック/グロリアが、ユーザーの要求に応じて高級化志向が強まっていくと、タクシー車両との共用が難しくなっていく。
個人タクシーでは敢えて高級グレードのクラウンなどを導入して、自分も利用客も満足する車両とするケースは多い。だが、企業として何十台も購入し管理するタクシー会社では、豪華装備は故障が増える無駄な要素であり、廃車まで使わない装備も多いことから簡素な仕様、安価で丈夫なクルマが求められたのだ。
そこでトヨタと日産は“タクシー専用車両”を別に用意することになる。それがトヨタ・クラウンコンフォートと日産クルーだ。どちらも普通の乗用車ではなく、最初からタクシーのために開発された車両であった。
ちなみにクラウンコンフォートは、厳密にはホイールベースの短いコンフォート(小型タクシー向け)と105mm長いクラウンコンフォート(中型タクシー向け)が用意された。しかもクラウンと名は付いているが、実際には旧型のマークIIセダンをベースにしている。そこからフロントマスクなどをクラウン風に作り替えたもので、例えばテールランプはトランクの開口部を大きくするために縦型にした。
日産クルーも同様にセドリック/グロリアやローレルなど従来車の部品を組み合わせて、安くて丈夫、荷物もたくさん積めるタクシーとして作り上げられた。
日産クルーはタクシー以外にもパトカーや教習車として利用され、5ナンバーサイズのセダンを好むユーザーのためにクルー・サルーンという乗用車も設定された。クラウンコンフォートも教習車などで活躍し、タクシーとしても現役で走るものが少なくない。それほど使い勝手が良く、人気のある車両である。
さて、ここで気になるのがセダンから派生したタクシー専用車両に、どのようにして独特な形状のJPN TAXIが取って代わるようになったのか、である。(続く)
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