日本のタクシー業界は、今や1台のクルマの天下となっている。それがトヨタの販売するJPN TAXI(ジャパン タクシー)だ。一昔前ならタクシーと言えばセダンがスタンダード。しかし、なぜ背の高いちょっと不思議な形の車が席巻するようになったのか。この点を理解するには、その前段階から知っておく必要がある。

2017年に登場したJPN TAXI(トヨタ公式サイトより)

セダン→JPN TAXIに覇権が移ったきっかけとは?

 従来、タクシー車両として存在感を発揮していたのはトヨタのクラウンコンフォートと日産クルーだった。しかし、誕生から時を経て、生産を継続する上で大きな障害が立ちはだかった。保安基準の改定による歩行者保護規制の導入だ。

 簡単に言えばエンジンルームに縦置きされたエンジンとボンネットの間のスペースが十分に取れず、歩行者と衝突してしまった場合、頭部を保護する機能が十分ではなかったのだ。

ADVERTISEMENT

 衝突時にボンネットを持ち上げる機構や、エンジンを斜めに傾けて吸排気系を作り直すなどの工夫をすれば、保安基準をクリアすることは不可能ではなかったかもしれない。しかし、生産開始から20年を経過した車両に手を加えて生産を継続するよりは、まったく新しいクルマを開発する方が理想のタクシー車両を追求できる。

クラウン コンフォート(トヨタ公式サイトより)

 そのため日産の経営改善もあって2009年に販売を終了していたクルーに続いて、2018年1月にクラウンコンフォートも生産を終了。タクシー用セダンの歴史は一度閉じられたのである。

 タクシー向け車両の生産・販売が終了することで、タクシー向けにまったく新しい車両が必要になる。そこで両社はどう対応したのか。