母は親分に頭を下げて「よろしくお願いします」と帰っていきました。

 僕は親分と盃を交わし、それから親分のことを「親父さん」と呼ぶようになりました。

えんこ詰め

 僕は17歳で指を詰めました。

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 部屋住みをして1年が過ぎたころ、夜中に事務所を抜け出して、当時交際していた彼女の家に遊びに行きました。事務所を許可なく抜け出すことは許されないので、僕は夜のうちにこっそり戻るつもりだったのですが、疲れていたのか、そのまま彼女の家で寝てしまったのです。

 起きると、すっかり夜は明けて、空が明るくなっています。

 これは大変なことをしてしまった、と思いました。

 このまま事務所に帰ったら、間違いなく僕は「反省坊主」にさせられます。

 僕は坊主は絶対に嫌でした。

写真はイメージ(提供:アフロ)

 そこで考えたのが、指を落とす「えんこ詰め」でした。

 極道社会では、えんこ詰めは最大級の謝罪です。

 無断外泊くらいでは当然、指なんて落とす必要はないのですが、僕は「どうせ極道を一生やるのだから、別に指くらい詰めてもいいだろう」などと考えていました。

 いま思えば、とんでもない発想です。