4/5ページ目
この記事を1ページ目から読む
母は親分に頭を下げて「よろしくお願いします」と帰っていきました。
僕は親分と盃を交わし、それから親分のことを「親父さん」と呼ぶようになりました。
えんこ詰め
僕は17歳で指を詰めました。
部屋住みをして1年が過ぎたころ、夜中に事務所を抜け出して、当時交際していた彼女の家に遊びに行きました。事務所を許可なく抜け出すことは許されないので、僕は夜のうちにこっそり戻るつもりだったのですが、疲れていたのか、そのまま彼女の家で寝てしまったのです。
起きると、すっかり夜は明けて、空が明るくなっています。
これは大変なことをしてしまった、と思いました。
このまま事務所に帰ったら、間違いなく僕は「反省坊主」にさせられます。
僕は坊主は絶対に嫌でした。
そこで考えたのが、指を落とす「えんこ詰め」でした。
極道社会では、えんこ詰めは最大級の謝罪です。
無断外泊くらいでは当然、指なんて落とす必要はないのですが、僕は「どうせ極道を一生やるのだから、別に指くらい詰めてもいいだろう」などと考えていました。
いま思えば、とんでもない発想です。
