子どもたちの目に「ご機嫌なママ」として映ることが大事
――万全のコンディションで向き合っていただけて、ありがたい限りです。原色初登場からの20年間で、結婚・出産とライフスタイルは大きく変わられたと思います。長期のお休みも経験されて、仕事に向き合う姿勢=“石原さとみ”像に対する温度や距離にも変化はございましたか?
石原 “石原さとみ”と付き合いやすくなりました。「自分ってなんだろう?」と悩まなくなったんですよね。昔は「仕事とプライベートを頑張って切り替えなきゃ」と必死でした。
でも今は、家に帰った瞬間、石原さとみを忘れて「ママ」になりますから。役を引きずっていても、やらなきゃいけないタスクが目の前に迫ってくる(笑)。無理にスイッチを入れるのではなく、ごく自然に切り替えができているように思います。
――“素”に戻れる時間が増えたのですね。
石原 そうですね。もちろん、「石原さとみ」も「ママ」も「役」も、全部のベースは私です。だけどやっぱり、家族で過ごす時間は……何ていうんでしょう、自分で自分を保てているように感じるんですよね。楽に、私らしくいられる。
逆に、打ちのめされることもあるんですよ。育児って本当にままならないことの連続で、理想の自分ではいられない瞬間がたくさんある。だけどそれを含めて、子どもと出会ってからは、人間として、ひとりの人として、見てもらえる時間が増えているなと思いますね。
それこそ切り替えに悩んでいた時期は、人に見られている状態でプライベートを過ごしたくなかったんですよ。でも今はもう、行き交う人に見られようが見られなかろうが、外見をどうジャッジされようが関係ない。だって、誰よりも“子ども”に見つめられていますから。周りの目を気にして綺麗な格好で出かけるより、子どもたちの目に「ご機嫌なママ」として映ることの方が、今の私にとってはよっぽど大事です。
――今までとは違う眼差しを受けて、大切にされたいものがはっきり定まったのですね。
石原 はい。プライベートでの身だしなみなんて最低限です。だって、口紅を塗っただけで、可愛いほっぺにチューできなくなっちゃう(笑)。だったら、メイクはしなくていい。髪もぐちゃぐちゃにされたっていい。怒らずニコニコと子どもに接することができれば、それだけでいい。
こうして振り返ってお話ししていたら、きっと私の中ではもう「人からどう見られるか」に意味はないんだなとわかりました。私、同じ悩みを抱え続けたくないタイプなんです。ひとつひとつ、できるだけその場で解決したい。今はまた違うことで悩んでいますが、それも課題を乗り越えて前に進めた証拠なのかな。そう考えると嬉しいですし、「この先も大丈夫だな」って思えます。
【原色美女図鑑(『週刊文春』2026年10月8日号掲載)】
撮影 川島小鳥
ヘアメイク 林由香里
スタイリング 宮澤敬子