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詐欺疑惑が持ち上がった後に見せた、正下の“奇妙な行動”
ところで『マインカンプ 特別篇』には、詐欺疑惑が持ち上がった後に、正下がいくつもの奇妙な行動を起こしていたことが記されている。
まず、第一生命による社内調査が始まってからも、正下はヨウ子にたびたび電話をかけてきた。用件といえば、たとえばこんな能天気な内容だった。
〈今コロナのせいで出かける事が出来んで面白くない。その内コロナが納まったら又、お会いしましょうね〉
これにヨウ子は、〈現状が判っておられるのかどうか心配だがハイハイと相づちだけ打っていた〉と軽く受け流した。
8月に入ってからも、正下はヨウ子に電話をかけ続けていたという。話の内容は以前と少し変わり、〈貴女からお預かりしたうん千万円は確かに本部に預けてありますからね〉と告げてきた。
ときにヨウ子から電話することもあったが、その場合はつながらず、決まってすぐに正下から折り返しかかってきた。
そのたびに正下は、同じことを繰り返した。
「もう少し待ってほしい」
ヨウ子は、具体的な話を求めた。いつ返すのか。いくら返すのか。
だが、正下は答えなかった。謝罪の言葉すらなかった。