「こんな仕打ちをするなんて信じられない」
ようやくジョニーが到着したのは、午後10時15分頃。ドアを開けると、むくれた表情のアンバーが近づいてきた。
「ベイビー、遅れてごめんね」
そうジョニーが謝ると、アンバーは彼を抱きしめ、軽くキスをして、「座ってよ」と招き入れた。ジョニーはパーティの参加者たちにも遅れたことを謝り、アンバーの隣の席に座った。
今しがたのミーティングで胸の内はふさいでいるのだが、それを押し隠し、ワインを飲みながらみんなとの楽しい会話に加わった。だが、そんなジョニーの耳元で、アンバーはこうささやいたのだ。
「私の誕生日にこんな仕打ちをするなんて信じられない。みんなの前で恥をかかせたわね」
深夜0時半頃、友人たちが帰り、ふたりきりになると、アンバーは猛烈に怒りをぶつけてきた。
狂ったように怒った彼女は、ジョニーの携帯や財布を窓から外に投げ捨てた。そんな妻を見て、ジョニーの胸にはとてつもないやるせなさが広がった。
自分は今、人生の崖っぷちに立っている。もしかしたら、この家も手放さなければならないかもしれない。にもかかわらず、彼女は心配してくれるどころか「誕生日パーティに遅れてきた」と責め立てるのだ。自分の妻は、なんと幼稚で思いやりに欠けるのか――。
力もなく、ジョニーはひとり静かに寝室に行き、ベッドに横たわって本を読み始めた。すると、アンバーもベッドに入ってきて、隣で罵声を浴びせ続けた。
無視を決め込むジョニーに…
彼が無視を決め込むと、今度はベッドを降り、ジョニーが横たわる反対側に回り込み、頭や顔、首を殴り始めた。ジョニーは黙って立ち上がり、アンバーをベッドに座らせると、彼女の両肩に手を置き、こう告げた。
「俺、出て行くから。追いかけてこないでくれ。止めないでくれ」
アンバーはすぐに立ち上がり、寝室のドアの前に立ちはだかった。
「何がしたいんだ? また俺を殴りたいのか? いいよ、殴れよ」
ジョニーの言葉通り、アンバーは拳を振るった。
「今ので気が済んだか? もう一発やりたい?」
挑発に応じるように、アンバーは二発目をかましてきた。そしてジョニーは、「これで気が済んだね」と、アンバーを再びベッドに座らせた。
「追ってくるな。ひとりにしてくれ。俺は出て行く」
最後にそう言い放ち、ジョニーはボディガードとともにスイッツァー・アベニューの家に向かった。