文春オンライン

「災害派遣」はいかにして自衛隊の「本来任務」となったのか

災害続きの年に考える

2018/10/12

 平成も終わりに近づいた今年は、災害の「当たり年」と言われるかもしれない。特に夏以降、毎月のように深刻な被害をもたらす大災害が起きている。近畿地方に大きな被害をもたらした台風21号では、関西国際空港の孤立が大きく報じられ、関空に勤めている従業員が救援を求めるツイートが話題になった(現在は削除)。そのツイートの中で従業員はこう書いていた。「自衛隊呼んで下さい!」。

東日本大震災の被災地で災害支援を行う自衛隊員たち ©共同通信社

災害が頻繁に襲ってくる我が国らしいが

 筆者はリツイートされてきたこのツイートを見た時、「災害には自衛隊」という意識が随分浸透したものだなあ、と感慨深かったのを覚えている。近年でも東日本大震災における自衛隊の活動は大きく報じられてきたし、2015年の茨城県常総市の堤防決壊では、濁流に取り残された人々を自衛隊等のヘリが救出していく様子が生中継で伝えられ、視聴者に大きなインパクトを与えただろう。

テレビ朝日YouTube公式チャンネルより当時のニュース映像

 この「大災害には自衛隊」という意識の浸透は、世論調査の中にも現れている。内閣府による2017年度の「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」では、「自衛隊に期待する役割」で「災害派遣(災害の時の救援活動や緊急の患者輸送など)」を挙げた割合が79.2%と最も高く、「国の安全の確保(周辺海空域における安全確保、島嶼部に対する攻撃への対応など)」の60.9%を上回っている。

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 国民が軍隊(敢えてこう言った方がいいだろう)に見出す存在意義で、最も高いものが「国防」ではなく「災害派遣」であるのも、災害が頻繁に襲ってくる我が国らしいと言えばそうだが、この傾向が見られるようになったのは、実は割と最近になってのことだ。