最近、郵便ポストなどに入っているチラシの中にこんな表記の不動産売却情報がないだろうか。

「新価格8500万円、売主直物件につき仲介手数料無料」

写真はイメージ ©years/イメージマート

「仲介手数料無料」「新価格」の意味するところ

 不動産仲介を行う業者は基本的に仲介の成立に伴って発生する仲介報酬で生きている。仲介報酬は宅地建物取引業法であらかじめ決められている。物件価格が8500万円であれば受け取ることができる仲介報酬の上限は3%+6万円。261万円(消費税別)である。この報酬をタダにしているのだ。なんだかお得な感じがするのではないだろうか。

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 理由として掲げているのが「売主直」「売主直販売」物件であるからというところだ。「売主直」という意味は、売主がこれを仲介している業者自身であるということだ。でもこれは妙な理由だ。通常仲介業者は買い手、売り手からそれぞれ手数料を得る。売主が自社ということは売主から手数料は取れない、というか取りようがない。だが買い手を見つけたのだから買主から報酬をとってもよいはず。あまり理由になっていない。

 もうひとつ着眼したいのが「新価格」だ。これは想像できるかもしれないが、「値下げ」である。値下げというと「売れていない」という印象が強くなるので、「新価格」と言って新鮮味を出しているにすぎない。

仲介業者が物件を買い取り→転売することで…

 これまでは不動産価格が上昇を続けていたので、仲介手数料無料や新価格(値下げ)といった表示が出ることはなかった。理由は何か。売れないのである。しかも自社(不動産業者)で仕入れた物件が売れなくて困っているのである。

 不動産仲介業者は本来、物件を仲介する立場だ。ところが近年のマンション価格の高騰で、仲介業者が自ら物件を買い取り、転売することで大きな利益を得られるようになったのだ。都内の中古マンション価格は対前年同月比で30%から40%もの上昇を続けてきた。売り物件を仲介して法で決められた手数料をもらうよりも自ら買い取って、部屋内をリニューアル、数か月後に転売したほうが、多くの利益を手にできたのだ。