ただポジティブなだけじゃない、逞しく生きる登場人物たち

――本作ではお草にとってかけがえのない存在である「小蔵屋」の元店員の久実と、彼女の恋人である一ノ瀬の関係についても描かれます。

吉永 この二人の関係を、ずいぶん長く書いている気がします(笑)。

 特に一ノ瀬が複雑な人物ですよね。久実のことを大切に思っているけど、登山のことが常に頭の中にあるという……。でも、彼は度量が大きいのかな。久実と一緒にひどい目に遭う覚悟ができているし、そこから何とかしてみせる気概があると思います。

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 それは、彼が登山家であるのも関係しているのかもしれません。やってきたものに押し潰されるだけでは終わらないというか、ありとあらゆる手段を使って対処しようとする姿勢がありますから。

――一ノ瀬が登山するシーンも、緊迫感のある息遣いが感じられます。

吉永 私自身は山を登らないのに、登山家の方の経験を聞いたり読んだりすることが好きなんですよね。自分には逆立ちしたってできないことなので(笑)、興味があるんだと思います。

――今後の久実や一ノ瀬、お草さんたちの物語はどのように展開しそうですか?

吉永 お草も一ノ瀬も、ただポジティブというわけではなく、現実的に一歩一歩踏みしめるように、たくましく生きていく人たちだと思っています。彼らの力を借りながら、一生懸命書いていきたいです。

 実は第一作を書いた頃から、著者の私よりもお草のほうが何倍も体力があるという状態でして(笑)。それはこれからも変わらないのではないかと思っています。

 読者の皆様にも、お草の気丈な姿を見て元気になっていただけたら嬉しいです。

故郷の青空 新・紅雲町珈琲屋こよみ

吉永 南央

文藝春秋

2026年10月23日 発売

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