ポッケに文庫本とか入れませんでした?

紗倉 でも人って、歳を重ねるとある程度の図々しさを獲得していきますよね。人に言われたことを気にしたり、世間の大多数に合わせようとしたりしてきた過去があるから、一周回って開き直れるというか。

伊藤 まなさんご自身はどうですか?

伊藤亜和『魔女になりたい』

紗倉 だいぶ獲得してきていますね。でも私の場合は、自信がついたからとか、年齢を重ねたからというわけではなくて、ある時から急に気にしなくなったというか。

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伊藤 「もうどうにもなんねえよ!」みたいな(笑)。

紗倉まなさん、伊藤亜和さん ©末永裕樹/文藝春秋

紗倉 そうそう(笑)。私の中で、「こういうふうに見られたい」とか、理想はあるんですよ。でも、そこに向けてアプローチしても、ことごとく打ち砕かれる。なんなら真逆の反応をされる。完璧な自分や理想の自分があっても、その自分にはなれないんです。誰のこともコントロールできないのだから、好かれたいという気持ちは前提にあるとしても、「どう思われてもいいか」と思うようになったんです。

伊藤 若い頃は、自分が他人からどう見られるかは、すべて自分が掌握できると思っていました。

紗倉 わかる! 中学生の時、自分の行動が全部格好良いと思ってた。ポッケに文庫本とか入れませんでした? ふざけた格好してるけど、ポッケから文庫本が出てきちゃう、みたいな自己プロデュースがすごかった。

伊藤亜和さん ©末永裕樹/文藝春秋

伊藤 方向性は違うけど、私はレースの手袋をしていました(笑)。

紗倉 えーっ! でもエッセイでも「自分の中で品の良いと思う女性を模倣する」というようなことを書かれていましたよね。

伊藤 当時は自意識も強かったけど、自分の見え方をコントロールできると思っていたのは体力があったからじゃないかと今は思います。最近はそれがなくなってきました。この本の中でも書いていますが、「気高く居るにも体力が必要」なんですよね。

(青山ブックセンター本店にて)

魔女になりたい

伊藤 亜和

文藝春秋

2026年8月27日 発売

最初から記事を読む 「もう僕の手の届かない存在になっちゃったね」って言われるけど、最初から届いてない。伊藤亜和&紗倉まなが語り合う、“変化していく自分”と“誰もが抱える孤独”