「出世魚のように、我々も名前を変えていけばいい」
――『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)に出演されたときも、独自の芸名理論をお話しされていましたが、あらためて“すごい”というか、“いかつい”というか、アイデアマンですよね。
ダンシング 売れたら北風ミシェルに戻せばいいだけですから。出世魚のように、我々も名前を変えていけばいいんです。営業で食べていくには、もちだし香織でいくしかないんですね。八代亜紀さんのものまねをしていたタレントには、営業のときだけ「むしろ亜紀」で行ってもらいました。八代さんは熊本の生まれですから、「むしろ亜紀」が九州の営業に行ったら大ウケです。地域によって求めるものまねのカテゴリーや歌手像があったら、そこに喜んで寄っていく。あるとき、うちに所属している「なりきり聖子」がディナーショーをしたんですけど、めちゃくちゃ歌が上手いのですごく盛り上がった。
それでホテル側から、「すごい良かったです。来年も同じ予算でやりたいんですけど、さすがにまたなりきり聖子さんってわけにはいきませんよね」と言われたので、「ちょっと待ってください」と。なりきり聖子は器用な人で、坂本冬美さんのものまねもできた。それで、「夜桜冬美でいきましょう」と提案しました。 なりきり聖子も夜桜冬美も同一人物なんだけど、お客さんは気付いてない。「今年は夜桜冬美が来た!」って盛り上がっちゃって。
――錬金術みたいなことしてますね。
ダンシング 僕が邪道と言われるゆえんです(笑)。でも、お客さんも主催者も喜んでくれる。それに、ただのおふざけでズレ芸名だけで勝負すると、三文芝居になってしまって、そっぽを向かれてしまう。人様の前に出して恥ずかしくないレベルまではスキルアップさせないといけない。そうすれば、8割くらいはバイトをせずに営業だけで食べていけるようになります。
その他芸能事務所に比べると、うちはこの点が優れていると思っているんです。営業やイベントで食べていける土壌を全国に作った。テレビに出て人気者になれるかはわかりません。それって運もあるから読めない。でも、我慢してバイトを続けるよりも、我慢して営業やりながら……月に40~50万円は稼ぎながら芸を磨いた方が良くないですか? ということを、僕は育てているタレントたちには言っています。
ただ……せっかく育てて食えるようになると、独立や引き抜きが生じやすいというのが、弱小プロの宿命というか。マネージャーも、「独立して私と二人三脚でやったら今よりも収入が増えるよ」なんて言い出してね。
――ノウハウがわかったら、自分でやってしまおうという人が少なくないのは、なんというかわかりますね。
ダンシング そっくりさんの光と影です。ものまねって群雄割拠で、特に小さい事務所が多い。僕も何度か痛い目に遭っているんですよね。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

