店名の由来を聞いてみたところ“意外な事実”が

 そして、ふと原元店主に店名の由来を聞いてみたところ、これまたすごい物語が語られることになった。「一力」という名前は原元店主が18歳の昭和49(1974)年頃から1990年代前半まで、桜木町駅前でお母さんやお姉さんが経営していた居酒屋兼業の立ち食いそば屋の名前だというのだ。原元店主はたまに手伝っていたという。横浜で店をやるのなら、このルーツの「一力」の名前を継承しようと即、思い立ったという。

 その発言を聞いて、冒頭で触れた私の記憶が一気によみがえった。桜木町駅前の店には私も3~4回は食べに行っていたのだ。酒も飲んだことを話すと、原元店主の顔が一気に満面の笑みに包まれた。そして握手してくださった。

「9月12日に店を始めたら、すぐに、桜木町の一力に来ていた常連さんがやってきてくれて、やっちゃん(原元店主の当時の愛称)久しぶりだねえ~と話しかけてくれたんですよ。自分もたまに手伝っていたのでとても感慨深かった。名前を復活させて本当によかった」

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 原元店主はねっからのそば好き、そばに人生をささげた「そば人」ということができる。「この界隈にはあまりそば屋がないので、是非、頑張って毎日製麺しているから、食べに来て欲しい」と原元店主は何度も繰り返していた。

 今日は午後にまた事務所に戻って、愛用している製麺機でそば打ちをするそうだ。頭が下がる。

店名「一力」に込めた想いが開花

 オープンしたての評判のよい「そば屋一力」を取材したら、原元店主の激動の人生を知ることができて、しかも、私が失念していた桜木町にあった川村屋以外のもう1つの立ち食いそば屋の名前まで思い出すことができた。こんな事もあるんだな。そばの取材の仕事をして本当によかったと実感した。

「そば屋一力」の価格は大衆そば系だが、味は素晴らしい立派なそば屋であった。名前の通り、原元店主1人のチカラで、大勢の仲間やスタッフを結び付けて、ルーツの名前を復活させた店だ。そばへの深い想いが感じられる。

「そば屋一力」の1杯のそばには原元店主の激動の人生やそばへの熱い想いが込められていた。また訪問しようと思う。今度は横浜橋を散策したあと酎ハイを飲みながら原元店主とそば談義でもしてみたいものである。

写真=坂崎仁紀

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「そば屋一力」
住所 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町4-121 ライオンズマンション伊勢佐木町
営業時間 10:00~20:00(火~日)
定休日 月曜日

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