11月6日に開幕する女流タイトル戦・倉敷藤花戦。福間香奈倉敷藤花に挑戦するのは、女流棋士になって3年、24歳の宮澤紗希女流二段だ。挑戦者を決定するトーナメントでは、元奨励会三段の西山朋佳女流四冠、中七海女流三段を連破して注目を集めた。

 インタビュー後半では、男性棋士との対戦、緊張せずに力を出すための考え方、プロになってからの勉強法、面倒見の良い師匠の戸辺誠七段のことなどを聞いてみた。

宮澤紗希(みやざわ・さき)女流二段 2002年1月26日生まれ。神奈川県横浜市出身。戸辺誠七段門下。2016年全国中学生選抜将棋選手権女子の部優勝、2018、2019年全国高校将棋選手権女子個人の部連覇。2022年全日本学生将棋女流名人戦優勝。2022年12月に研修会に再入会し、2023年7月1日付で日本将棋連盟所属の女流棋士2級に。2025年女流初段、2026年タイトル挑戦により女流二段。

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強い相手には研究だけでは勝てない

――今回のタイトル挑戦の前にも宮澤先生の強さが注目されたことがあって、それが2026年3月の新人王戦で高橋佑二郎四段に勝利したことだと思います。西山女流四冠、福間女流四冠が出場することが多い他の(公式プロ)棋戦と違い、新人王戦は原則26歳以下の棋士(と奨励会三段)を対象にしているので、4人分ある女流棋士枠も26歳以下から選ばれます。宮澤先生は今年、初出場でした。高橋四段は2学年上で子どものころ指したことがなかったでしょうか。

宮澤 一度だけ指したことはありますが、小4と小6くらいで佑二郎先生は奨励会に入るころ。大きな実力差があり負けでした。弟さんが私と同じ学年、研修会のクラスも近くて何度も指したと思います。

――今回、高橋四段と対戦が決まって、どのような準備をされましたか。

宮澤 今までの佑二郎先生の公式戦の棋譜を全部見て、ありそうな戦型を先手、後手とも2、3パターンずつ用意しました。定跡型のまま負けてしまうのは良くないので、角換わりの研究を中心に。その研究した形にたまたまなったんです。

――角換わりであれだけ研究をして勝つのはすごいとずいぶん評価されていたと思います。

宮澤 角換わりの研究勝負というところが強調されていたのですが、自分として一番良かったのは研究で勝ったことではありません。確かに研究した形になって形勢は良くなりました。でも、強い相手にはそれだけでは勝てない。それまでの自分だったら終盤で逆転負けをしていたと思います。それが、その対局では最後まで緩まずに強い相手に勝ち切ることができたんです。序盤、中盤、終盤と全部うまく指せたことに充実感がありましたし、自分が成長していると感じました。

2016年の名人戦の前夜祭に参加した(中3)。羽生名人(当時)と(写真提供 宮澤春彦さん)

――確かに、女流棋士が男性棋士との対局で優勢になったものの逆転されてしまうのは珍しくないような。タイトル挑戦により、他の女流枠が多い(男性)棋戦にも出られるかもしれませんね。

宮澤 もちろんもっと強くなって強い相手に勝ちたい意欲はあります。(男性)棋戦は持ち時間が長いです。持ち時間3時間までしか経験したことがないので、4時間、5時間の将棋を指すことができたら、すごく嬉しいと思います。