この川がいまの足立区・葛飾区の区境、古くは武蔵国と下総国の国境でもあった。つまり綾瀬駅前の繁華街の中に、国境・区境が通っているというわけだ。
どこが古隅田川の流路なのかは、綾瀬駅の南側を歩いているとすぐにわかる。なぜか駅前繁華街の中にある帯状の駐輪場。また、この駐輪場から続くように南に続く広い道。どちらも古隅田川の流路の跡だ。南に下る道などは、いまも片方が足立、片方が葛飾と区を隔てる通りになっている。
綾瀬という町は、豊かな水に恵まれた新田地域の中に現れた“学校のための駅”を中心に市街地が形成されてきたのである。
55年前に移転した綾瀬駅
綾瀬駅が現在の形になったのは、1971年のことだ。地下鉄千代田線が開通し、常磐線各駅停車への乗り入れを開始。あわせて常磐線は複々線化されている。このタイミングで現在の位置に移り、高架のターミナルに生まれ変わった。
このとき、古い駅の北にあった商店街の店舗のうち17店が高架下に移転したという。高架下の酒場というものは、土地の有効活用にして、隠れ家のような雰囲気もあって庶民の町にはよく似合う。
東京の綾瀬駅。都心に直通する地下鉄のターミナルにして、ひとつお隣には北千住。古の田園地帯にはじまる緑豊かな住宅地と、駅前の庶民的な繁華街。これほど住むにはうってつけの町もなかなかあるまい。駅前にタワマンが現れるのも、当然なのである。
(写真=鼠入昌史)




