「はじめて寺山修司と会ったのは74年、渋谷にあった“a.i.u.e.o.”という喫茶店ででした。そしたら話が止まらなくなって、翌日も会いましたよ。その後彼の舞台『疫病流行記』を見て、本当にびっくりしました。かつて私は寺山修司、唐十郎、鈴木忠志の3人を“アングラ演劇の御三家”と呼びましたが、当時の実感では3人のなかで寺山が抜きん出ていましたね」
寺山没後35年の今年、神奈川近代文学館で「寺山修司展 ひとりぼっちのあなたに」が開催中だ。編集委員を務める三浦雅士さんは語る。
「私が寺山さんについての展覧会などに関わるのは、今回はじめてです。文学館から声をかけられたとき、田中未知さんが協力してくれるならと条件をつけました。田中さんは晩年の寺山さんの秘書兼同居人でしたから、いまもたくさんの資料を持っているんです。田中さんは、この機会に全部出すって言ってくれて。300点を厳選しました。さらに田中さんがデザイナーの祖父江慎さんに声をかけて、彼が展示に腕をふるってくれました」
展覧会では寺山修司にまつわる様々な催しも予定されているが、11月17日(土)には三浦さんによる講演も。
「20世紀の前半は言語哲学の時代でしたが、後半は“身体”の時代。“20世紀バレエ団”を率いたモーリス・ベジャールと寺山修司はほぼ同時代に活躍していたんです。世界的な文脈から、寺山の活動の重要性を語りたいですね」
INFORMATION
『寺山修司展 ひとりぼっちのあなたに』
9月29日(土)~11月25日(日)
https://www.kanabun.or.jp/exhibition/8506/