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 実刑の理由には、顔もそのまま流布されたことや被害者の精神的負担があげられていたが、この判決に怒りの拳を挙げたのが女性らだ。

 女子学生らに話を聞くと、

「やったことはもちろん悪いし、法の裁きを受けるのもしようがありません。だけど、みんなが言うように、仮に犯人が男性だったら、こんなに早く警察が動いたりするのかなって。だって、捕まっても罰金だけで済んだという話をやまほど聞いているから」

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 憤懣やるかたないといった表情だった。

実刑を受けるのはたったの8%

 韓国ではデジタル性犯罪についての法律はもちろんあるが、量刑は最高で懲役5年。盗撮・流布に関しては、国会議員が公開した最高裁判所の資料によると、この5年で実刑となったのは8%ほどで、ほとんどが不起訴や罰金、または執行猶予付きだった。

 弘大の事件では、あまりにも速やかな捜査対応に、「被害者が女性の時はこれほど早く警察は動かない」、「盗撮の犯人だった男性はこれまで実刑が下ったことは稀。必ず執行猶予がついたり、罰金程度ですんでいた」とし、「男女の差別なく公平な捜査を望む」と訴えて女性らがデモを行った。デモはその後も続いていて、10月6日で5回を数えている。

元「KARA」メンバーの暴行事件で本格的に社会問題化

 こうした動きをさらに広く知らしめたのが、ク・ハラの暴行事件だ。

元「KARA」メンバーのク・ハラ氏 ©共同通信社

 日本でも大々的に報じられたのでご存じの方も多いだろうが、韓国の人気アイドルグループ「KARA」(2016年1月解散)の元メンバーで女優のク・ハラが元交際相手に暴力を振るったという暴行事件が9月に発覚した。

 ク・ハラの元交際相手が、別れ話のもつれからク・ハラから暴行を受けたと警察に通報したことが始まりだった。

 皮膚移植も必要だとし、顔の傷を公開して訴えた元交際相手に対し、ク・ハラ自身は相互暴行だったと反撃。元アイドルの泥沼劇は韓国でも最大の関心事となった。

被害者は元交際相手のはずだったが……

 ところが、10月に入ると事件は一転、新たな局面に入った。

 10月4日、ク・ハラが元交際相手を警察に告訴していたことが明るみにでた。プライベートで性行為を撮影した映像を韓国メディアに渡すと元交際相手から脅迫されたという。ここから事態は、「暴行事件」から「リベンジポルノ事件」へと様相を変えた。

 これにすぐに呼応したのが、先の盗撮事件で公平捜査などを警察に求めていた女性らだ。

 世論も、それまでは、どちらかというと元交際相手に同情的だったのが、ク・ハラのこの告白に潮目はがらりと変わった。10月4日、青瓦台(大統領府)の「国民の請願および提案掲示板」に書き込まれた「チェ××(ク・ハラの元交際相手)のようなリベンジポルノへの処罰を強化してください」という請願には23万名以上が署名している。

 10月6日に行われたデモにはおよそ1万人(公称)が集まった。

 このデモの主催団体の名は、「不都合な勇気」だ。