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競技クイズの高校日本一決定戦! 「ニュース・博識甲子園」はなぜできたのか?

競技クイズの高校日本一決定戦! 「ニュース・博識甲子園」はなぜできたのか?

まるでドラマの筋書きのような奇跡な場面を制したのは……

2018/10/21

同じ高校の3人が1チームとなり、地区予選に臨む

「ニュース・博識甲子園」を主催するのは「一般社団法人 日本クイズ協会」(略称JQS)。その名称からして、伝統ある組織のようにも思われるが、実は2年前に立ち上げられたばかりの、フレッシュな団体だ。日本全国のあらゆるクイズ大会、クイズ関係者を強力に統括している、というわけではない。また今後、そうした予定もない。あくまでも裏方として地道に、各地でクイズを楽しむ人たちをサポートすることを目的としている。

 中学、高校の部活動としてクイズに取り組む生徒、そして保護者や指導者が参加してよかったと思われるような大会をオフィシャルに開催する。それがJQSにとっては一つの目標でもあった。「ニュース・博識甲子園」の開催は、高校生にとっては大きな励みであろうし、JQSにとっても、大きな試みの始まりである。

「ニュース・博識甲子園」では、同じ高校の3人が1チームとなり、まずは全国7地区で開催される地方予選に臨む。参加したのは、103チーム、316人。もちろん「高校生クイズ」と比べれば、参加者数は圧倒的に少ない。それでも静かで熱い戦いが、まずは机の上から始まった。

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 メンバー3人はそれぞれ難問200問のペーパークイズを解く。問題は易しいものから難しいものまで様々だ。ジャンルは社会、歴史、国語、科学、生活、芸能・音楽、スポーツ、趣味・娯楽と、多岐に渡る。

 3人の合計点によって、上位8校が全国大会に進出する。

 激戦を勝ち上がったのは、上位から順に栄東、開成、旭丘(愛知)、松本深志(長野)、川越(埼玉)、仙台第二(宮城)、福岡(福岡)、慶應義塾(神奈川)。

 なじみのある学校名が並んでいると言ってもよいのではないだろうか。

第1回「ニュース・博識甲子園」の出場チーム(写真撮影:筆者)

東京パラリンピックのマスコットの名前は何でしょう?

 東京・渋谷のスマートニュース社で開催された全国大会の模様は収録され、映像サービス「Paravi」で配信された。現在も観ることができる。

「高校生クイズ」と「ニュース・博識甲子園」。両方の全国大会に出場した選手は、わずかに1人だけだった。両大会の性格が異なることを端的に示すものだろう。

 全国大会は激戦となった。いくつか問題を紹介しよう。

Q.先月発表された2020年の東京オリンピックのマスコットの名前は「ミライトワ」ですが、東京パラリンピックのマスコットの名前は何でしょう?

 これはみなが即答レベル。正解は「ソメイティ」。

Q.大相撲の大横綱で、本名『秋吉定次』といえば双葉山ですが、本名『秋元貢』といえば誰でしょう?

 年配の方ならば、すぐにわかる問題かもしれない。現代の高校生は、次女の秋元梢さんの名を知っていて(最近では俳優の松田翔太さんと結婚してニュースとなった)、そこから正解を導く。正解は千代の富士。

Q.今年4月、政府の国家戦略特区の制度を活用して、岡山理科大学獣医学部が開設された都市はどこでしょう?

 日頃ニュースに触れていればわかる問題だろうか。鉄道好きで地理の知識が豊富な選手が「今治市」と答えて正解。

Q.蘇我入鹿と藤原鎌足の家臣・山上源内左衛門(やまがみげんないざえもん)が力比べをする場面が有名な、歌舞伎十八番のひとつとされる作品は何でしょう?

 これは難問であろう。歌舞伎十八番の演目名を全て覚えても、内容まで把握していないと答えられない。正解は「象引」(ぞうひき)。準決勝に進んだ4校のうち、3校までも正解していることから、上位校のレベルの高さは、推して知るべしだ。

全国大会1回戦の様子(写真撮影:筆者)