本当に元に戻るのかという不安も大きかった
──矢方さんが出演している「#乳がんダイアリー」(NHK)のウェブサイトを拝見していて、むくみもひどかったそうですね。
矢方 顔が破裂するんじゃないかというくらいパンパンになって、ウエストも倍くらいに太くなっちゃったので、いつも履いているパンツが入らない。腕や足もむくむので、スキニーを履くと跡が残るんですよ。それを、「太ったね」とか言われると、「薬の副作用だから」と答えるのも言い訳みたいだし、でも自分ではどうすることもできないのがつらかったです。顔には出さないようにしていましたが、内面では相当落ち込みました。本当に元に戻るのかという不安も大きかったです。
──そこからどうやって抜け出されたのですか。
矢方 だんだん身体が慣れてきたことと、私の症状を見ながら抗がん剤の調整をしたり、吐き気止めを変えてくれたりしたことで副作用が減ってきたので、ちょっとずつ立ち直れました。あとは、仕事に集中するなど、ほかのところで気持ちをあげるように意識していました。自分で外見の変化を言い訳にしたくない、という思いはあったんですが、目に見える変化がすごすぎて、受け入れられない部分もありました。
「ファッションウィッグ」を使って困ったこと
──脱毛でも、想定外のご苦労があったとお聞きしました。
矢方 脱毛は覚悟していたので、まだ髪の毛が抜ける前にウィッグをつけてイメージしていたんですけど、実際に脱毛が始まってウィッグをつけないと外出できない状況になると、周りから「あの人ウィッグつけてる」って見られるんじゃないかとか被害妄想になって、あまり外出できなくなりました。
──実際に直面して困ったことなどもありましたか。
矢方 脱毛する前に、いろいろ髪型を楽しもうと思って、通販でおしゃれなウィッグを買っていたんです。でも、いわゆる「ファッションウィッグ」というのは、毎日使う用には作られていないんですよね。毎日使っていると、だんだん頭皮がチクチクしてきたり、頻繁にブラッシングすると毛が抜けて劣化したりするんですよ。あと、今年の夏は特に暑かったので、においや汗も気になりました。
──ただでさえ暑いのに、ウィッグを被ると、蒸れてさらに暑さが……。
矢方 とにかく汗の量がすごいんです。せっかくお風呂に入っても、寝るまでの間にグラスの水を頭からぶちまけたくらいの汗が出てきたり。もともと、そんなに汗をかく体質ではなかったんですけど、移動中に汗をかきすぎて、髪の毛がぐっしょり濡れるのは困りました。