三宅純さん ©Jean Pail Goude

 リチャード・ギアがニューヨークのユダヤ人上流社会に食い込もうとする“自称フィクサー”を演じる映画『嘘はフィクサーのはじまり』。普段の二枚目ぶりとは別人の“ギア様”が「彼の音楽は最高だ!」と絶賛するのが、音楽を担当した三宅純さんだ。リオ五輪の閉会式の『君が代』のアレンジでも「鳥肌が立った」と注目を集めた。

「今回の映画では、監督があるシーンに、ユダヤ人作曲家、クルト・ワイルの『三文オペラ』をあてていたのが自分でもしっくりきて、そこから発想して作曲していきました」

 この話には後日談がある。

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「僕以外の殆どのスタッフが様々な国から集まったユダヤ人なんですが、音楽プロデューサーが『クルト・ワイルの精神を現代に映せる作曲家はいないか』と監督に尋ねられて、『パリに1人だけいる』と答えた、と後で聞きました」

 その人こそ三宅さんだった。テルアビブでオーケストラを録音した後、NYでジャズミュージシャンを録音したが、

「リチャードもニューヨークの録音に来てくれました。彼もギターやピアノを弾くので、途中で弾き始めちゃってちょっと困ったけど(笑)」

「国境も時間も超える」と評される音楽が、笑いの後のほろ苦い結末に寄り添っている。

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『嘘はフィクサーのはじまり
シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中
http://www.hark3.com/fixer/