イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 東京医科大による前文科省局長の息子への入試加点疑惑に端を発した、医学部の入試不正問題。文科省が全国八十一の国公私立大医学部医学科を対象に進めている調査の中間報告が先月発表された。大学名は公表されなかったけど、現役生に加点し多浪生には加点しない事例、学力検査で同点の場合は多浪生や女子は面接でより高い評価を受けないと合格させない事例など四事例が報告された。八月の緊急全国調査では、約八割の大学で男子の合格率が女子を上回ることが判明。この期に及び「加点や優遇をしていました」と自主的に申し出る大学が出てこないとはね!

 既に現役と一浪生への加点が判明した昭和大学は会見で、彼らのほうが「将来性」が見込めるから、と理由を述べた。医師国家試験合格率の上昇に寄与する可能性がより高い、ということね。優秀な学生集めに必死なのはわかる。でも、試験に一発合格するような「頭のいい医者」が優れた医者になるとは限らないわ。また、これは就職試験でもない。学ぶ意志を持つ者に等しく門戸を開くのは、教育の原則よ。

 ボク、医学部関係者から聞いたことがある。「正直、女医さんでは対応が難しい体力勝負の外科手術もあるし、夜勤もさせにくい」。でも対人能力の高さなど、女医の方が優れている面も多い。OECD諸国中で日本の女医率は二〇・四%と最下位。加盟国単純平均は四四・八%、イギリス、フランス、ドイツは四〇%台なのに(二〇一五年データ)。出産や子育て支援を始め、女医が働きやすい環境づくりを国や社会、職場が進めるべきね。

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 調査の最終結果は年内公表の予定。既に第三者委員会を設置し調査を開始した大学も。各大学は過去の不正の全貌を明らかにすべきよ。厚労省、文科省はじめ国はリーダーシップをとって、志望者が安心して公正に医学部を目指せる体制をつくっていかないとね。